名画を巡る30日 200年近い歴史を誇るロンドン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する、珠玉の名画61点が初来日しています。東京では10月18日まで、そして11月3日より大阪で開催される、世界で初めての「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」から、厳選した30枚の名画を、毎日ご紹介いたします。パリ在住の展覧会プロデューサー・今津京子さんに、知られざる名画の秘密を教えていただきましょう。
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セザンヌ 『ロザリオを持つ老女』
ポール・セザンヌ《ロザリオを持つ老女》1895-96年頃 油彩・カンヴァス ©The National Gallery, London. Bought, 1953連載を締めくくるのはセザンヌ。ロンドン・ナショナル・ギャラリーの絵画コレクションは、初期ルネサンスから20世紀初頭までの広範囲にわたっていますが、平易に「(初期ルネサンスの)ジョットからセザンヌまで」と表現されることもあるほど、セザンヌは絵画史で重要な作家の一人です。
これまでご紹介してきた肖像画とは全く異なり、セザンヌのモデルの老女はその姿を伝えるものではなく、彼の芸術理論を実践するために画面の中に取り込まれて描かれています。 セザンヌはピカソなど20世紀の画家たちに大きな影響を与え、“近代”と呼ばれる時代への懸け橋となったと捉えられています。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーは2024年に開館200周年を迎えます。長い歴史の中で、コレクションをまとめて館外で紹介する世界で初めての展覧会が、今回の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」です。
『ひまわり』をはじめとする傑作の数々。61点すべてが主役といえるこれだけの作品をお借りできたのは、展覧会に関わったロンドン・ナショナル・ギャラリーの人々全員が「日本の皆様に作品を見てもらいたい、美術館を知ってもらいたい」いう気持ちを共有していたからに他なりません。何百年という時を超えて現代に残る美術作品が、海を越えて来日を果たす――世界に1点しかない「本物の素晴らしさ」を味わえることが展覧会の醍醐味です。是非、会場に足を運び、お楽しみください。
今津京子/Kyoko Imazu
写真/小野祐次展覧会プロデューサー。パリをベースに、今回の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」、「モネ展」(2015年)、「オルセー美術館展」(2014年)など、30数年にわたり数十の大型展覧会の企画に携わる。
日仏英の3か国語を操り、美術、ファッションなどの分野でジャーナリストとしても活動。音楽、演劇、料理、アンティークなどアール・ド・ヴィーヴルをこよなく愛する。
『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』
写真提供/読売新聞社約200年の歴史を誇るロンドン・ナショナル・ギャラリーが、初めて館外で大規模な所蔵作品展を開催。61作品すべてが初来日となる。英国とヨーロッパ大陸の交流という視点で、ルネサンスからポスト印象派までの西洋絵画史を辿る。
東京会場:国立西洋美術館~2020年10月18日(日)
月曜休館(8月10日、9月21日は開館)、9月23日休館
一般1700円
お問い合わせ:03(5777)8600(ハローダイヤル)
大阪会場:国立国際美術館2020年11月3日(火・祝)~2021年1月31日(日)
11月16日、11月24日、11月30日、12月14日、12月30日~1月2日、1月18日休館※休館日は変更になる場合があります
一般1700円
お問い合わせ:06(6447)4680(国立国際美術館代表)
※東京会場は日時指定制となります。国立西洋美術館では入場券の販売はありません。詳しい入館方法や最新情報は展覧会公式サイトでお確かめください。展覧会の詳細はこちら>>