――ところで、自粛要請期間中はどう過ごされていたのでしょう?
「料理をしたり、散歩をしたり、本を読んだり、配信で映画やドラマを観たり……という毎日でした。カミュとか、普段なかなか読まないようなものまで読もうと思えたのは、いい機会でしたね。ただ、自粛期間が終わった後の久々のドラマ現場では、芝居はもとより現場自体に緊張して、慣れるのに少し時間がかかりました(笑)」
――ご自身にとって、舞台はどういう場ですか?
「生きている実感がいちばんする場所。もちろん、観てくださった方にとって、何かいいきっかけになったらなという思いもあるんですが、毎日生で全力でお芝居に向き合うので、それがいちばん大きいですね。ハプニングもあるし、今日うまくできたからって、明日もできるとは限らない。その緊張感と、終演後の達成感がたまらなくて、千秋楽の2日とか3日後くらいには“また本番やりたいなあ”と思っている自分がいたりします(笑)」
――昨年は3本の舞台に出演し、俳優としての実力を舞台でもめきめきと発揮している溝端さん。師匠と仰ぐ吉田鋼太郎さんの影響も大きいのでは?
「それは確実にありますね。去年出演した舞台3作品のうち、2作品は鋼太郎さんの演出でしたし、ドラマでは京都で撮影した時代劇で、親子の役をやらせていただきました。そばで鋼太郎さんのお芝居を見ているだけで勉強になりますし、何より楽しいんですよね。高いレベルのものを求められるので、より緊張するし大変ではあるんですけど、“芝居ってこうだよな”とか“演劇って自由だよな”と思わせてくれる。鋼太郎さんのことが大好きな俳優さんは大勢いるんですが、たぶんここ最近の若手では、僕がいちばんお世話になっていると思います(笑)」
テレビドラマ『立花登青春手控え』『柳生一族の陰謀』(ともにNHK BSプレミアム)、舞台『魔界転生』など、近年は時代劇でも活躍している。