対話をする、生きものを育てる。たわいのない時間が心の安定に
1人でこの局面に立ち向かおうとすると、怒りの増幅や被害妄想につながり逆効果です。
斎藤先生がすすめる解決策の1つは「対話をする」。議論・説得・アドバイスはしないのがルールです。
「対話とは平等な関係を前提に、自分と相手で考えや意見が違うことを認め合う目的で行うものです。コツはお互いが“私”を主語に話し、主観と主観を交換すること。
実際、対話の少ない夫婦ほど腹を探り合い、日常的なおしゃべりを延々と楽しむ夫婦は相手を勘繰らない傾向があります」
ささやかな楽しみや対話で心穏やかに
たわいのないおしゃべりをしたり、生きものや植物を育てることは人間本来の時間感覚を取り戻し、心の安定を図る効果がある。斎藤先生は今回のコロナ禍による自粛の中で、人間には不要不急が必要であることを強く感じたといいます。
「人間の時間は、少しの重要なことと多くの“どうでもいいこと”で成り立っています。不要不急の外出が憚られるなら家でたくさんの不要不急をして、本来の時間感覚を取り戻してほしい。
アメリカではヒヨコの飼育、日本ではシイタケ栽培が流行っているそうです。何かの世話をすることで生じる責任感もメンタルによい影響を及ぼします」
不用品を処分し部屋が片付くと心も安定するといいます。人間関係も同じ。コロナ禍は憂鬱な人づきあいを穏便に断るよいきっかけにもなります。
心の安定を図るための5か条
1. 対話をする。議論・説得・アドバイスはしない。
2. 生きものを飼ってみる、花や野菜を育ててみる。
3. 家事はできるだけフェアに分担する。
4. 部屋を片付け、何もない空間をつくる。
5. 嫌なことは断る、つらいことは訴える。
〔特集〕新型コロナウイルス感染症と共存するために「50歳からの心と体の新習慣」(全11回)
取材・文/浅原須美 イラスト/にれいさちこ
※2020年6月30日現在の情報をもとに記載しています。
『家庭画報』2020年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。