きものダイアリー

“高麗屋”にちなんだ帯締めで 七代目市川染五郎さん最後の舞台へ

2017.11.22

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Bettyokoのきもの日記 第41回

歌舞伎座 吉例顔見世大歌舞伎 昼の部「鯉つかみ」

今月の歌舞伎座は「吉例顔見世大歌舞伎」。“顔見世”とは役者が芝居小屋と一年を通して出演の契約をしていた江戸時代、期の替わり目となる11月に“今シーズンはこの顔ぶれで公演しますよ”とお披露目をした公演の名残りの興行。歌舞伎座の正面には、年に一度、顔見世の11月公演にだけ櫓(やぐら)が設えられます。




そんな11月の公演は、出演者も、とても豪華。昼の部、夜の部にわたって坂田藤十郎さん、尾上菊五郎さん、松本幸四郎さん、中村吉右衛門さん、片岡仁左衛門さんと当代を代表する大名優が当たり役をつとめるなかでの、朝一番の演目が、市川染五郎さんによる「鯉つかみ」です。



小桜姫のもとにあらわれた、旅に出ていたはずの許嫁、志賀之助。小桜姫が再会を喜ぶところに、もう一人の志賀之助が登場します。実は最初にやって来た志賀之助は、琵琶湖に住む鯉の精。本物と偽物が滝の中で格闘し、姫と結ばれるのは果たして……というお話です。

本物と偽物、二人の志賀之助を演じる染五郎さんは、見事な早替わりで、あちらから消えたと思えば、あっと言う間に別の拵えで登場。最後は本水を使った鯉の精との立ち回りで、観客をおおいに湧かせました。

「鯉つかみ」は、2015年にラスベガスでも染五郎さんによって演じられ、ホテル「ベラッジオ」の噴水と巨大な池、プロジェクションマッピングを駆使しての演出で、現地でも大きな話題を呼びました。翌2016年には同じラスベガスのデビッド・カッパーフィールド劇場で「KABUKI LION」と題した公演を実施。歌舞伎が国境を超えて観客を魅了することを証明しています。



 

勧進帳の弁慶をはじめ、家の芸とも言うべき古典を受け継ぐ一方で、花形世代のリーダー格としてさまざまな新しい取り組みに挑戦してきた市川染五郎さん。来年一月にいよいよ、十代目松本幸四郎を襲名します。と、いうわけで「市川染五郎」のお名前での公演は、今月が見納め。名残を惜しみ、次のお名前での活躍へのエールを送りに、ぜひ歌舞伎座に足を運んでください。

 
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