病気の予防と治療、食事と口腔ケア、運動がポイント
ここ数年、「フレイル」という言葉が注目されています。
これは英語のfrailty(弱ること)が語源で、「加齢で心身が衰えた状態」のこと。
最近では特に介護保険制度の「要介護状態」になる前にみられる心身の衰えを指すようになっています。
フレイルを予防して健康寿命を延ばす!
葛谷雅文、老年医学におけるSarcopenia & Frailtyの重要性 日老医誌. 2009;46(4):279-85.を一部改変フレイルは健康な状態と要介護状態の中間的な状態。衰えの自覚がなくても意識的に気をつけるべきである。
フレイルになっても自分自身で生活習慣を変え、早めに医療や介護の専門家のアドバイスやケアを受けることで要介護状態、ひいては寝たきりを防げる。
健康寿命の延伸を目指すならば、フレイルを遠ざけることが必須になる。
食べられない、動けないなど多くの要因が絡んで悪循環に陥る「フレイルサイクル」
心身の衰えを指すフレイルは、食欲低下、低栄養、運動不足、筋肉減少など、加齢に伴う多くの要因が重なって、悪循環となることが知られている。病気や貧困なども大きく関係する。また、咀嚼や飲み込みといった食べる機能の衰えをオーラルフレイルといい、フレイルの早い段階に表れることが指摘されている。国立長寿医療研究センター理事長の荒井秀典先生は、「フレイルになる年齢は人それぞれですが、一般に50代からの対策を始めれば、フレイルになるのを遅らせることができます」と話します。
荒井先生がフレイルの予防として特に注目しているのが、病気・食事・運動です。
何らかの病気を患うとどうしても日常の活動が制限されてしまい、それが心身を弱くします。
「比較的お若くても入院すると一気に体力が落ち、日常生活に支障が出るかたもいます。まずは病気をしないこと、病気になったら早めに治療することです」。