美容は生き方を変える。佐伯チズという人生

クレンジングからローションパックまで
日本女性の肌を変えた佐伯式メソッド

記念すべき初登場。
2年にわたって美肌論を教えていただきました

『家庭画報』誌面への初登場は2006年1月号。連載「五〇代からの『肌磨き』佐伯チズさんのエイジレス・ビューティ」がスタートしました。美容論はもちろん、お洒落で知られる佐伯さんのファッションも常に注目を集めました。

どんな肌も変わるお手入れ、基本の「き」

「美肌への第一歩は、自分の肌状態を知ること」。肌状態を知るとは、決してシミやシワの数を調べることではなく、肌が正しく機能しているかどうかをチェックすることだと佐伯さんは言います。そのための独自の提案が「う・な・は・た・けチェック法」。

う=潤い。顔を手のひら全体で包み込んで押さえ、静かに離したとき、吸い付くようについてくれば、十分に潤っている証拠。

な=なめらかさ。人差し指、中指、薬指の3本を顔(頰、小鼻から鼻筋にかけて、眉の上の3か所)に押し付け、指に皮脂がついてくるかどうかをチェックし、皮脂がついてくれば合格。

は=ハリ。両手を両耳の前に当て、中指はこめかみを、親指は耳たぶの後ろを軽く押さえるようにして、手のひら全体で優しく真横(後ろ)へと引っ張ります。このとき、目尻や頰に斜めジワではなく横ジワができるようなら合格。

た=弾力。人差し指と親指で頰骨の下あたりを挟み、分厚くつまめ、痛みを感じれば、弾力がある証拠。

け=血色。手のひら全体を使って、頰からこめかみにかけてまんべんなく2回ずつプッシュして、肌がピンク色になるようなら合格。

「美しさとは、すなわちつや」を目指すために不可欠の5つの要素を見極められるようになれば、「他人の意見に流されて肌に合わないお手入れをしてしまったり、我流の勘違いケアをしてしまったりする」ことを防げるし、自分らしい化粧品選びも叶うというわけなのです。

そして、「美肌への第二歩は、お手入れを見直すこと」。「“手”入れ」「“手”当て」という例えを挙げながら手のひらのパワーを使いこなすという「当たり前」を教えてくれたのも、佐伯さんでした。

手のひらを擦り合わせて十分に温めてから、肌全体を包み込んで、化粧品を入れ込む、圧力をかけ、引っ張って、たるみ、むくみを防止する、耳をもんで、血流、リンパの流れを促すといった基本の動作が、どんな美容機器にも勝る効果を発揮すること、その結果、化粧品の力を最大限に引き出すこと、つまりは、化粧品を味方につけ”るも無駄にするも、「自分次第」と”いう原点を教えてくれたのです。

肌が喜ぶ、若さが甦る、佐伯式という「救世主」

こうして始まった「肌磨き」連載。簡単かつ効果的な佐伯式メソッドをわかりやすく丁寧に解説したページは、読者の女性たちに大きな反響を呼びました。

まず、「洗いすぎないクレンジング」。例えば、私たちの多くが必須と信じ込んでいる「ダブル洗顔」の見直しを説いたのも、佐伯さんでした。肌はいつ何どきでも潤いの膜で守られていなければいけないのに、肌がきゅっきゅっとなるまで洗ってしまっては、必要な皮脂まで取り去られて、肌が「丸裸」になってしまうと佐伯さん。

潤いのベールを残しつつ、不要な汚れだけを取り去るためには、夜はクレンジングクリーム、またはクレンジングミルクで丁寧に落とす。朝はぬるま湯で素洗いする程度で十分。縦にごしごしと擦らず、手を横方向に丸く優しく動かすのが、正解。落とすステップで、肌は見違えるように吸い付く質感になるのです。

そして、「ローションパック」。今でこそ、耳慣れた言葉になりましたが、それは佐伯さんが絶対の美容法としてこつこつと伝え続けたからこそ。まさに佐伯式の代名詞です。

方法はいたって簡単。薬局などで販売されている大きめのカット綿を水に浸し、軽く絞ったあとローションを垂らします。このカット綿を4枚に裂き、額からまぶたに1枚、指で鼻と口の穴を開けて鼻からあごに1枚、両頰に2枚と伸ばしながら貼り付けるだけ。たった3分で、肌は潤いで満たされ、新陳代謝が整って、細胞から健やかになるのです。

ほかにも「黄ばんで硬い“高野豆腐”を白くてなめらかな“絹ごし豆腐”に」「レンジフードの汚れのように、普段のお手入れではどうしても落ちない肌汚れがあるのです」「“目もとケア”で若さを積み立て」「頭皮は顔と“地続き”。頭皮がたるめば顔にも地崩れが起きます」「手入れが行き届いたデコルテは、高価なジュエリーにも勝る美しさです」……。例え上手の佐伯さんは、心身の奥の奥に届く名言で精神から美しさを目覚めさせてくれました。

佐伯式という本質。佐伯式という絶対。佐伯さんの思いが詰まったメソッドは永遠に私たちの肌の救世主なのです。

家庭画報読者の皆さんには、
年齢を重ねるのも悪くないな、あんな50代になりたいな、と
思われるような女性になっていただきたい。
それには、肌が美しいことが必須条件なのです。

『家庭画報』2006年1月号より

多数の美容特集のほか、連載では、2006～2007年、2010～2011年に登場。まさに『家庭画報』美容ページの顔となる存在でした。