近年、世界で盛んに行われている認知症予防の研究から脳の神経細胞のネットワークを強化し、脳の若さを保つ重要なキーワードがわかってきました。
それは「人づきあい」、「運動(体を動かす)」、「知的活動(趣味・生きがい)」の3つです。
知的好奇心を持ち続け、人づきあいを大切にしながら活動的に暮らす生き方が認知症を遠ざけてくれるのです。
また、こうした生き方は高齢期に多くみられる老人性うつにも効果があります。
「がんなどの大病、伴侶や友人の死などを経験することでうつ病になることも多いのですが、この病気を繰り返すと認知症リスクが高まることが明らかになっており、見過ごせません。うつを重症化させず、病気や死のストレスから早く立ち直るうえでも仲間の存在はとても大きいのです」。
また、活力がある50代のうちに新しいことに挑戦することも脳を大いに刺激するため、宇良先生は勧奨しています。
コロナ禍において脳の若さを保つための行動は「3密」を避けるうえで制限されることも少なくありませんが、いろいろ工夫しながらできることから取り組んでみましょう。
いつまでも若々しい脳と心を保つために
「3密」に気をつけながら人づきあいを大切に活動的に暮らす
コロナ禍の今、始めたいこと
●毎日の食事づくりで複数のおかずを同時に作る。
●気の置けない友人とオンラインパーティを開く。
●離れて暮らす家族や友人に電話やメールをする。
●家族とチェスやトランプを楽しむ。
●年間の植栽計画を立て、ガーデニングに取り組む。
●オンラインで仲間との楽器演奏や合唱などを楽しむ。
●旅行の写真を見ながら行程を思い出し、旅日記をつける。
●行ったことのない国への、いつか叶う旅の計画を立てる。
●ダンスや体操など家族と一緒に体を動かす。
●食事や運動など健康習慣の目標を立て、まずは1週間完遂を目指す。
〔特集〕新型コロナウイルス感染症と共存するために「50歳からの心と体の新習慣」(全11回)
取材・文/渡辺千鶴 イラスト/にれいさちこ
※2020年6月30日現在の情報をもとに記載しています。
『家庭画報』2020年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。