——2人の空気感を出すために特別に何かされましたか?
水川:そこがすごく不思議だなと思います。ね?
濱田:うん。
水川:何かをあえて話したわけでもないですし、役について何か語ることもなかったですし。でも、役の上で、豪太がチカをちゃんと愛してるっていうことだったり、チカが豪太の才能にホントは期待しているところとか、それだけは根本にお互いがちゃんと持っているっていうことは認識しつつ、ぶつかったらそれに応えてくれるっていうことがわかっていて。それぐらい信頼しているので、それで成り立ってたっていう感じはすごくします。
濱田:実際に豪太とチカちゃんみたいな夫婦を水川さんと僕が目撃したら、たぶん笑ってると思うんですよね。「あの2人、すごいね」なんて。豪太とチカちゃん夫婦のかわいらしいって感じるところとか、笑うポイントが近いから。
水川:たしかに。
濱田:だから、セリフだけのコミュニケーションでも、こういうふうになれたのかなと思います。
——お寿司屋さんを出てからのシーンはかなり印象的です。
濱田:難しいシーンではありましたね。豪太にはト書きで、「と、言われたけど、泣きながら抱きしめる」みたいなことが書かれていて、これはなんだろう、どういう意味なんだろう、って僕は思っていて。僕は泣くのがあんまり得意ではないから、理由が知りたかったんですよね。だから、監督に聞いたら、「うやむやにしようとしている、こいつは。それだけです」って。
水川:(笑)
濱田:そう言われて、「えー!? こんなに言われても、うやむやにしようとしてるの!?」って。100%は理解できなかったですけど、でも泣かないといけないし。だからチカちゃんが気持ちを吐き出すまでの水川さんの背中を見て、撮影中のいろいろなことを思い出して、水川さんが振り返ってチカちゃんが喋り出したときに、「かわいそう」と思って。
水川:(大笑)
濱田:お客さん目線でもらい泣きし、流されそうになりながら、うやむやにするのが僕の任務ですから、いかん、いかん。このまま流されちゃいかん、みたいな。その涙は残しつつ、もうどうにか抱きしめなきゃって、一生懸命、力ずくで抱きしめましたけど。
セリフがないときのふとした表情から、豪太とチカ、それぞれの愛情が感じられたが、最後はいったいどうなるのか。劇場でご確認を。