「求肥(ぎゅうひ)」は古くは牛皮とも書き、牛のなめし皮のように白く、滑らかさときめの細かさ、弾力性を併せ持った餅生地です。生地には砂糖がたっぷり入るのでツヤがよく、透明感があるのが特徴です。
今回ご紹介する「栗餅」は、関西ではポピュラーな菓子で、栗大福とも呼ばれます。栗の甘露煮をのせた餡を包むことで、白い餅生地の下にうっすらと見える栗が鄙(ひな)びた風情を感じさせますが、茶席の菓子としても使えます。
作り方を教えてくださったのは、兵庫・明石で茶道と和菓子の教室「さろん閑遊」を主宰する清 真知子(きよし・まちこ)さん。茶道をきっかけに和菓子を作り始め、現在は茶道裏千家教授の資格を持つ清さん。茶の湯に学んだ五感で楽しむお菓子を提案されています。
9月の求肥の主菓子
「栗餅」の作り方
【材料(12個分)】
・餅粉 100g
・上白糖 140g
・水 140g
・水あめ 大さじ1
・
こし餡 240g(ひとつ20g)
・栗の甘露煮 6個
・片栗粉 適宜
【準備】
上白糖はふるっておく。12等分して丸めたこし餡に、汁気を切って適当に割った栗を埋め込み、丸く形を整える(餡ひと玉に栗1/2個)。
【作り方】
(1)ボウルに餅粉を入れ、分量の水を少量ずつ加えて混ぜる。漉(こ)しながら鍋に移す。弱火にかけ、粉っぽさの消えたツヤと透明感のある餅状に練る。
(2)全体に透明感が出たら上白糖を3〜4回に分けて加え、その都度、焦がさないよう餅状になるまで良く練り合わせる。
ポイント◆砂糖を加えるタイミングが重要。しっかり餅状になってから加えること。(3)仕上げにツヤ出しの水あめを加え、更によく練る。
(4)片栗粉を広げたバットに(3)を取り出す。
(5)上から片栗粉を振りかけ、切り分けやすいよう、熱いうちにカードで四角く形を整えておく。
(6)5分ほど生地を落ち着かせてから、手早く12等分する。
ポイント◆生地が温かいうちにおこなう。(7)生地の内側の粉を払い、栗を下向きにして餡をのせる。
ポイント◆餡を持った手で生地が汚れないよう、手を拭きながら包む。(8)逆さに返して生地をのばし包む。
ポイント◆栗の凹凸が生地の表面にほんのり浮き出ると表情がよい。(9)再び逆さに返して口を閉じ、腰高に形を整える。いただく直前に刷毛で手粉を払って仕上げる。
【保存法と日持ち】
密閉容器に入れ、常温で1〜2日。保存するときは手粉をつけたままのほうが乾燥を防げる。ラップを敷いた密閉容器に入れ、手粉をつけたまま冷凍保存も可能。
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1960年神戸市に生まれる。83年裏千家学園茶道専門学校卒業。96年神戸市内に、2002年に東京・学芸大学に和菓子教室を開く。現在、茶道裏千家教授、茶道と和菓子の教室「さろん閑遊」を主宰。デモンストレーションと実技で構成される和菓子教室は、季節感溢れる美しい和菓子が初心者でも上手に作れると好評を博している。2014年兵庫県明石市に教室を移転。清さんが主宰するYouTubeチャンネル「本格和菓子」は
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撮影/浮田輝雄