家庭画報のレジェンド・レシピ 爽やかな「ご馳走サラダ」第15回(全19回) 1958年3月号の創刊以来、家族と囲む食卓がより楽しく満ち足りたものになってほしいという思いから、『家庭画報』は膨大な数のレシピをご紹介してきました。今回の「レジェンド・レシピ」は特別編。和・洋・中の各料理界で活躍する本誌ゆかりの料理人が、「今こそおいしい料理で、皆さまに元気を出してもらいたい」という願いを込めて提案するとっておきのサラダのレシピをお届けします。
前回の記事はこちら 菜摘みの国・日本の養生サラダ
野﨑洋光さん(分とく山・主人)
健やかに暮らせることのありがたさや大切さが、改めて意識されている現代。いっそう“健康”を考えて、日々の献立を考えたいものです。古くから日本人は野山で菜を摘み、体を整えてくれる自然の恵みとして食してきました。そんな野菜が本来持っている力を生かした養生サラダの数々を、野﨑洋光さんに伝授していただきました。
和えもの=和のサラダ
体を整える、美味なる“薬”
アブラナ科野菜の酵素サラダ「湿潤な気候に恵まれた日本は、黙っていても草木が生える国。この豊かな風土に生きてきた日本人は、無病息災を願って七草粥をいただく習慣や、香味野菜を“薬味”と呼ぶことからもわかるように、身近に採れる“菜”を“薬”として食べてきました」と話す野﨑さん。いわば和のサラダといえる“和(あ)えもの”などで、日々季節の野菜を摂取して体を整えてきたといいます。
食を通じて健やかな体を保つ知恵を改めて知ってもらいたいという野﨑さんの思いが込められたサラダは、野菜が持つ力を生かしているのが特徴です。例えば、アブラナ科の野菜は、酵素の働きを損なわないよう低温で調理。酵素のピリッとした辛みやフレッシュな食感といった野菜の個性をも際立たせて。さらに、“和える”という言葉のとおり全体の調和も肝心です。
野﨑洋光さん
(のざき・ひろみつ)1953年福島県生まれ。ホテルでの修業を経て、80年に東京・西麻布の「とく山」料理長に就任。89年日本料理店「分とく山」を開店し、総料理長に。現在もグループ3店舗の総料理長を務める。伝統を重んじつつも、時代に適った独創的な料理は多くの人々を魅了し、雑誌やテレビなどでも活躍。レシピが論理的でわかりやすい料理本も多数手がけている。
分(わけ)とく山(やま) 広尾本店東京都港区南麻布5-1-5
電話 03(5789)3838
低温加熱で酵素をキープ
アブラナ科野菜の酵素サラダ
【材料・2人分】・小松菜 2わ
・ブロッコリー、カリフラワー(それぞれ小房に分けたもの) 各3個
・キャベツ(葉) 2枚
・かぶ 1個
・大根 4センチ長さ
・ルッコラ 3わ
・ミニトマト 4個
・塩 適量
・和のビネグレット(作り方は後述) 適量
【作り方】(1)小松菜は茎と葉に分け、茎は80度の湯で90秒、葉は45秒ゆでて、7センチ長さに切る。
(2)ブロッコリーとカリフラワーは、塩分濃度1.5パーセントの80度の湯で2分ゆでる。
(3)キャベツは80度の湯で1分ゆで、巻きすを使って丸め、3センチ幅に切る。
(4)かぶは皮をむいて6等分に切り、大根は皮をむいてくし形に切り、どちらも70度の湯で7分ゆでる。
(5)ルッコラは適当な大きさにちぎる。
(6)ミニトマトは湯むきする。
(7)(1)~(6)の野菜を器に盛りつけ、和のビネグレットを添える。
ご自宅で気軽に低温で野菜をゆでるコツ
野菜の酵素を壊さない70~80度でゆでるのが調理のポイント。料理用温度計がない場合は、沸騰させた1Lの湯に、300cc程度の水を入れて少し温度を下げ、湯の表面が揺れる程度の火加減で加熱する。
まろやかな和のビネグレット
【材料(作りやすい量)と作り方】(1)鍋に穀物酢40ccを入れて火にかけ、一度煮切って冷ます。
(2)ボウルに1 とサラダ油大さじ5、ごま油大さじ1、醤油大さじ1~1と1/2、玉ねぎのおろし汁大さじ2、にんじんのおろし汁大さじ2、いり白ごま大さじ3を入れ、混ぜ合わせる。
関連記事作り置きしてもおいしい!タイムが香るズッキーニの簡単レシピあつあつをほぐして、すりごまドレッシングで!「蒸しなすのサラダ」の簡単レシピ 〔特集〕家庭画報のレジェンド・レシピ 爽やかな「ご馳走サラダ」(全19回)
撮影/本誌・西山 航 イラスト/金子ともこ 取材・文/鈴木博美
※ご紹介した料理はあくまで家庭で作るために考案したものであり、料理店ではオーダーできません。
※各レストランの営業については、お店に直接お問い合わせください。
『家庭画報』2020年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。