端正なマスクが、笑うといきなり少年のようになる生田さん。身体能力も抜群の真摯な好青年の中では、舞台への思いがより確固たるものになっているようだ。
「コロナ禍のこういう状況では、チケットを買って劇場に足を運ばなければ観劇できない舞台は、確かに不急の存在かもしれません。作品をつくるにもすごく時間と労力がかかりますし、そもそもエンターテインメントは世の中が平和じゃないと成立しないものなんでしょうね。ただ、それでもなくなることなく、戦争やいろいろな災害がありながらもずっと存在し続けているのは、舞台は不要なものではないからだと思う。そこに対しては、自信と誇りを持ってやっていきたいです」
今回の朗読劇にも「自分たちがやっていることは、きっと誰かのためになっているんじゃないかな」という思いで臨みたいという。
「たとえば、週末の観劇を楽しみに1週間仕事を頑張れたり、いい作品を観た後は食事をおいしく感じたり、幸せな気分で眠れたり。そんなことって、あるじゃないですか。この『ハロルドとモード』も、お客さまにとってそういうものであれたらなと。少なくとも僕自身は、また舞台がやれるんだと考えるだけで、今すべてのことに前向きな気持ちです」
生田斗真/いくた とうま
1984年、北海道生まれ。97年にNHK連続テレビ小説『あぐり』でデビュー。2010年の主演映画『人間失格』と『ハナミズキ』でキネマ旬報ベスト・テン新人男優賞とブルーリボン賞新人賞を受賞するなど、俳優として幅広く活躍。主演舞台『偽義経冥界歌』のゲキ×シネ上映が決定。
『ハロルドとモード』
EXシアター六本木2020年9月28日~10月3日
S席9800円ほか
サンライズプロモーション東京:0570(00)3337
シアター・ドラマシティ2020年10月14日・15日
S席9800円
キョードーインフォメーション:0570(200)888
公式HPはこちら>>作/コリン・ヒギンズ
上演台本・演出/G2
出演/黒柳徹子、生田斗真、趣里、浜田信也、相島一之、秋本奈緒美
表示価格はすべて税込みです。
取材・構成・文/岡﨑 香
『家庭画報』2020年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。