専門家に聞く、更年期の心身の不調の乗りきり方。医療から代替療法、食と運動まで

女性が、ホルモンの変化に翻弄される時代は終わった

生きる意欲がわかない、全身の倦怠感がずっと続いている、性欲が起こらないなどの症状に対して女性ホルモンや抗うつ剤が効かない場合、前述のように男性ホルモン（テストステロン）を補充するケースがあります。

女性の体にも男性ホルモンは分泌されており、それが極端に欠乏するとこのような症状が現れるのです。

「更年期の女性のテストステロン値は、性的意欲が落ちている人ほど低いことがわかっています。性的意欲とはすなわち生きるエネルギーのようなもの。仕事や趣味など新しいことに取り組む意欲と同等なのです」


ホルモン補充療法を行うときは“リスク（副作用）とリターン（効果）”を忘れてはいけません。リターンばかりでなくリスクの説明にも耳を傾け、納得して治療を始めることが基本です。

「50代からもうひと仕事成し遂げるために元気が欲しい、いつまでも皮膚を若々しく保ちたいなど目標や価値観は人それぞれ。リスク管理をしながらホルモン補充療法を行えば、理想の人生の実現も可能です。要は、自分がどう生きたいか。ホルモンの力を補う手段はいくつもあり、日々進歩しています。女性が、ホルモンの変化になすすべもなく翻弄される時代は終わったのです」