ホルモン力アップ&症状改善のための、50歳からの日常習慣
ホルモン力アップと更年期症状緩和の基本は、食生活と運動習慣の改善。関口先生が、その具体的な方法を伝授します。今、身につければ一生役に立ち、健康寿命を延ばすことにつながります。
【食生活】
補腎作用のある食材をとる。適度なコレステロールは必要
ホルモンには脳や血管、筋肉や骨などに作用して、体を動かし、頭を働かせ、気力を奮い立たせる働きがあります。
その分泌量が減少する更年期以降は、エネルギーの源である食事をしっかりとることの重要性が高まるといえます。
若い頃に比べて食が細くなる分、必要な栄養素を効率よく取り入れる工夫が大事になってきます。
「漢方では先天的な生命エネルギーを腎気といい、腎気の減少(腎虚)を老化ととらえます。男性には排尿やセックスのトラブル、女性には骨や皮膚のトラブルが出現しやすいなど腎虚の症状には男女差があり、腎気を補うためには補腎作用のある食材を積極的にとることが大事です」(関口先生)
補腎作用のある食材
また、コレステロールはエストラジオール(女性ホルモン・エストロゲンの成分の一種)を作る材料にもなります。コレステロール値は少々高めでも問題はなく、むしろ高めのほうが長生きをするというデータもあります。軽度の高コレステロール値を薬で下げすぎることは避けましょう。
【運動】
骨盤底筋を鍛える運動が大事。姿勢を正し、腹式呼吸を意識
更年期世代の女性は、特に骨盤底筋を鍛える運動が大事だと関口先生はいいます。
骨盤底筋とは膀胱、子宮、膣の下支えをする筋肉群のことで、分娩や加齢、遺伝、女性ホルモンの不足などが原因で緩んできます。
「骨盤底筋の弛緩は尿失禁や過活動膀胱、骨盤臓器脱、膀胱痛など女性泌尿器科疾患の原因となり、QOLが著しく低下します」(関口先生)
予防には、骨盤底筋トレーニング(おなかやお尻を動かさず、肛門を締めたり緩めたりした後、膣と尿道も同様に締めたり緩めたりする)に、体幹トレーニング(ピラティス、ヨガ、太極拳など)、有酸素運動(ウォーキング、エアロビクスなど)を加えた3つの運動を週に2、3回行うのが理想的です。
正しい姿勢を保って歩く
背すじを伸ばして胸をしっかり開き、腹式呼吸を意識して歩く。歩幅を広くし足を高く上げると、歩行機能を維持する効果が期待できる。背すじを伸ばし、胸を開いた姿勢で腹式呼吸を意識しながら歩行すると、骨盤底筋群の活動性が高まります。
歩幅をしっかり確保し、足を上げることを心がけ、歩行機能の維持にも努めましょう。
また、姿勢がいいと腹圧が骨盤底にダイレクトにかからなくなり尿漏れも減ります。
Information
女性医療クリニックLUNA横浜元町/ネクストステージ
神奈川県横浜市中区元町1-32
取材・文/浅原須美 撮影/八田政玄 イラスト/にれいさちこ
『家庭画報』2020年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。