第34回
インターネットで楽しむ、私だけの帯締め作り
夏きものから単衣、そして袷の季節へ――。わたくしE子、秋は少しでもきものを着る機会を増やしたいと思い、10月に少人数で友人との会食を計画しています。
きものと帯はすんなり決まったのですが、さて帯締めをどうしましょう。先輩方が撮影前のコーディネートで真剣に帯締めを選ぶ姿を見ておりますので、着こなしのキモであることは承知しています。私ももっと帯締めにこだわらなくては!
きもののコーディネートではたった数センチの世界なのに、着こなしを決める重要な役割の帯締め。収納した小箱を見ているだけで幸せな気分になりますよね。そういえば、先輩がオンラインで帯締めのカスタムオーダーができると話していたことを思い出しました。理想の一本を作れたら、着こなしがグレードアップできるはず! そこで今回は私だけの帯締め作りに挑戦したいと思います。
個性的な唐組の帯締め、果たして初心者に使いこなせるの!?
カスタムオーダーができるのは「蛸足唐組」という、菱形が連続した模様の帯締め。房が八本あり、蛸の足に似ていることからこの名前が付けられたそうです。房がまとまっているので、からまることなく保管ができますね。カスタムオーダーのサービスを行っているのは、京都にある「趣味の和装小物 きねや」さん。ホームページを見ると、「蛸足唐組(たこあしからくみ)」という帯締めができるようです。
とても個性的な柄で、初心者の私には少しハードルが高いかも? どのようなシーンで使えばいいのかもわかりません。作り始める前に、このサービスを手掛けた松下佳憲社長にお話を伺うことにしました。
松下佳憲社長(以下、敬称略)「初心者さんでも大丈夫ですよ。唐組のような総柄は、無地の帯締めと同じ感覚でお使いいただけますから」
総柄が無地と同じとは、どういうことでしょう?
松下「帯締めは、虫眼鏡で仔細を見るものではありませんよね。周りの方からは、少なくとも数メートルは離れています。離れると色の境界線がぼんやりして見えてきます。江戸小紋も細かな型染めの総柄ですが、離れて見ると無地のようですよね。それと似たようなことだと思います」
なるほど! 総柄の帯締め合わせに迷ったら、少し離れてメインの色で合わせるとよいのですね。
松下「それでも難しいと感じたら、初めは同系色の総柄を選ぶと合わせやすいのではないでしょうか。
また唐組はダイヤ柄が特徴で、紬などのおしゃれ着向きだと思われがちですが、古くからある「くみひも」なので、使用シーンの制約はありません。それよりも使う色を意識してください。
礼装には中間色から薄い色のタイプを選ぶとよいでしょう。金糸や銀糸を入れると一層フォーマル感が出ますが、おしゃれ着に取り入れてもよいと思っています。現代感覚で、お好みのデザインを楽しんでいただけたらと思います」