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山あいの集落に響く受け継がれる水音【残したい日本の音風景・11月】文/細野晴臣

2020.09.30

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11月 因州和紙の紙すき




文/細野晴臣

清らかな水の恩恵は太古から変わらず人々を癒し続けてきた。しかし日本人は恵まれすぎて有り難みを忘れがちかもしれない。


水中生物を祖先に持つ人間は、体液に海水と似た組成を持っている。しかも身体のほぼ65パーセントは水で、細胞内の水分が生命維持の役割を果たしているのだ。

時々、今飲んでいる水は太古から循環してきたのだと思うことがある。

水は蒸発して雨となり、地下水となって浄められていく。地球外に蒸発していたら水はすぐに枯渇するだろう。地球がとても利口な星だと水が教えてくれる。だから水の音はこの上なく心地よい。また時には恐ろしい。

水は生活に限らず産業や文化にも欠かせないが、ここに取り上げられた因州(いんしゅう)和紙の紙すきも、清浄な水がある限り続いていくだろう。

しかし世界を清らかに保つには、もはや自然に委ねているばかりではいられなくなりそうだ。

上のバナーをクリックすると、実際の音を聴くことができます。

細野晴臣(ほその・はるおみ)



音楽家

1947年東京生まれ。1969年「エイプリル・フール」でデビュー。1970年「はっぴいえんど」結成。73年ソロ活動を開始、同時に「ティン・パン・アレー」としても活動。78年「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」を結成、歌謡界での楽曲提供を手掛けプロデューサー、レーベル主宰者としても活動。YMO散開後は、ワールドミュージック、アンビエント、エレクトロニカを探求、作曲・プロデュースなど多岐にわたり活動。
公式サイト www.hosonoharuomi.jp
出典・音響提供/環境省「残したい“日本の音風景100選”」 写真/アフロ

※こちらの音は、公益社団法人日本騒音制御工学会ホームページ「日本の音風景100選/サウンドライブラリ」からも聴くことができます。

『家庭画報』2020年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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