旧暦10月、八百万の神々が参集する 出雲大社の「神在祭」 第2回(全3回) 旧暦10月の異称は「神無月」。全国の神々が出雲に集まり、各地の神様は不在になるということからの月名です。そしてこの月、諸国の神々は出雲において、大事な神議(かみはか)りをされるのだと古来、人々はいい伝えてきました。そのため出雲では旧暦10月を「神在月(かみありづき)」と呼び、神々を迎えるその期間、人々は神様の邪魔にならぬよう忌み慎み、畏敬の思いと感謝の心を新たにします。
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神迎えの翌朝、本殿において神在祭が執り行われる。千家尊祐宮司が白装束に身を包み、本殿に入られる。本殿で行われる神在祭はこの初日のほか、中日である5日目、最終日の7日目の3回行われる。本殿の階段で、神職が順繰りに上段へとつないで神饌を捧げる。山海の幸を三方に盛った神饌は、楼門の左右に設けられた神饌所で調えられ、御神酒も大社内で醸された特別のものが捧げられる。7日間に及ぶ神々の議り事に祈りを捧げて
本殿における神在祭を終えて、八足門から退出する神職たち。装束は祭礼用のもの。朝早くから大勢の参拝者が訪れて参拝をすませ、この列を迎える。一般の人はこの八足門から中には入れないため、本殿に向かって拝礼をするときは、この門の下で拝礼を行う。神迎えの夜が明けた旧暦10月11日。この日から7日間の神在祭が始まります。本殿における午前9時からの神在祭に参列したいと多くの人が早朝から列を作るのですが、本殿手前の八足(やつあし)門内の1200の椅子席はすでに満席。中に入れない大勢の人は八足門の下で、習わしどおり二礼四拍手一礼で次々と拝礼していきます。
斎行の初めに参列者のお祓いがあり、笛と太鼓の奏楽が始まると千家尊祐宮司が本殿に上がり、献饌の儀が行われます。
宮司の拝礼に続いて謝恩詞を参列者もともに奏上。口中で唱えられる秘めやかな音声が地鳴りのように響きます。続いて宮司による祝詞が奏上され、神語が唱和により奏上されました。この後、巫女による神楽舞が本殿前の楼門下で奉納されます。最後に参列者代表が玉串を奉納。神事は滞りなく終わりました。
宮司の祝詞奏上に続いて楼門下で巫女による神楽舞が奉納される。神楽鈴が振られると、真白な千早の袖の内で、五色の鈴緒が優雅に揺らめく。本殿における神在祭はこの初日と中の日(5日目)、最終日に行われます。中の日は縁結大祭も併せて行われます。
神在祭期間の7日間、神々は御旅社である十九社から神議りの場である上宮まで毎日通われます。