有田において日本で初めて磁器が作られてから、2016年で400年。良質な陶石を採掘できた泉山をはじめ、焼物に適した自然環境と共存しながら有田は発展してきました。 その伝統を受け継ぎ、次の400年に向けて始動すべく、さまざまな関連事業が展開された本年。その集大成ともいえる新ブランド「2016/」がお披露目されました。クリエイティブ・ディレクター柳原照弘さんのもと、16組の国内外のデザイナーと、有田・伊万里の16の窯元と商社がタッグを組み、新しい有田焼のブランドを生み出したのです。参加したデザイナーのうち14組が海外勢。さまざまなプロダクトデザインを手がけてきたキャリアを持つ彼らが、有田焼の美に惹かれ、その可能性を創出するために、2年半にわたり有田の歴史や手法を研究。有田に2度滞在し、窯元と対話を重ねて開発を進めてきました。ブランドには2つのコレクションがあります。まずは“器”という枠を超え、インテリアオブジェなどを創造した「エディション」。職人の技術を生かして作られたデザインコレクションです。もう1つが、日常生活での利便性を重視した「スタンダード」。デザイナーごとに15種類のシリーズがあり、それぞれの想いやこだわりが反映されたラインナップで、伝統的な美を大切にしながらも、新しい素材の活用と造形に挑戦した独創的なデザインが特徴です。 [caption id="attachment_891" align="alignnone" width="393"]
「スタンダード」から3組のデザイナーの作品の一部を紹介。スウェーデン出身の著名なデザイナーであるインゲヤード・ローマン氏による黒と白のティーセット。ティーポットS(Black Matt)2万7500円、同(White Matt)2万7000円、ティーカップL(Black Matt)1万3000円、同(White Matt)1万2500円。[/caption]
素晴らしいのは、斬新なデザインと機能性が見事に調和していること。かつて有田焼がオランダの東インド会社を通して西洋へと羽ばたいたように、再び世界中で愛されるために、扱いやすい磁器を目指して作られました。普段の食卓や生活のなかで、お洒落に取り入れられる有田焼の誕生です。 [caption id="attachment_890" align="alignnone" width="393"]
オランダ出身のデザイナーユニット「スタジオ・ウィキ・ソマーズ」による作品。瑠璃色の顔料は伝統的な手法で塗られた。上から、プレート180(Spray)1万7000円、ケーキトレイ(Spray)2万4000円。[/caption]
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ジュエリーデザイナーのサスキア・ディーツ氏は、日本の意匠「鱗」をモチーフにブレスレット(直径65ミリ)と指輪(直径17ミリ)を作製した。上からブレスレット「Special Underglaze」1万8000円、同「Gold Scales」2万6000円、リング「Special Underglaze」、「White/Gold Dots」各8000円。 ※西武渋谷店、西武池袋本店、そごう横浜店、ショッピングサイト「e.デパート」で販売。[/caption]
※西武渋谷店、西武池袋本店、そごう横浜店、ショッピングサイト「e.デパート」で販売 [caption id="attachment_895" align="alignnone" width="413"]
有田焼の象徴である泉山の様子。[/caption]
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窯元で学ぶインゲヤード・ローマン氏。[/caption]
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窯元の職人と交流するサスキア・ディーツ氏。(写真3点/長谷川健太)[/caption]
●2016/TEL:0955-42-2016http://www.2016arita.com/jp/●『家庭画報』2016年12月号掲載 この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。