海外の街をきもので颯爽と歩く美女の正体は!? 世界的エンターテインメントグループ「ブルーマングループ」のパフォーマーの妻、青嫁こと北川聖子さんが、夫のワールドツアーに同行して海外できものを纏う楽しさを綴った旅日記。連載は終了しましたが、その特別編3回にわたってお届けします!
一覧はこちら>>家庭画報.comをご覧の皆さま、こんにちは。青嫁こと、北川聖子です。
約2年にわたって、夫(ブルーマングループ)のワールドツアーに同行し、きものを詰め込んだスーツケースを持って世界各国を旅してきましたが、ようやく昨年から古巣であるボストンに戻り、腰を落ち着けました。今日は、ここボストンでの私の活動についてお話しさせていただきます。
ボストンではメイクの仕事も
現在私は、以前より自宅で営んでいたきもののレンタル&着付けのビジネスを再開させ、七五三や成人式などの撮影のお手伝いをしています。
その他にもボストンだからこそ関わることができるアーティストのメイクや音楽アルバムジャケット撮影のアートディレクターも務めさせていただいています。
ハーバード大学、MIT (マサチューセッツ工科大学)を有する世界屈指の学園都市として有名なボストンですが、実は有名な音楽大学も存在するため、才能あるミュージシャンの方々とお仕事する機会も多くあります。
私が東京でダンサーをしていた頃、自分でメイクをするのもヘアセットするのも仕事のうちでした。基本的には舞台でも撮影でもダンサーにプロのメイクアップアーティストがつく事は少ないので、現場でご一緒だった宝塚歌劇団出身の先輩ダンサーの方(当時、若手ダンサー達は尊敬の念を込めて、先輩ではなく「お姉さま方」とお呼びしてました)に、舞台メイクの基礎を教えていただいていました。
そんな時代があったからこそ、私はメイクもヘアセットもかなり得意なほうと自負しています。きものの着付けサービスと合わせて、お客さまのご希望によりメイクもしていたのですが、気づけばそちらの仕事のほうがどんどんご好評を得て、今ではメイクだけのオファーも引き受けています。
昔取った杵柄をフルスウィングして、アメリカでたくましく生きておりますよ、わたくし。
世界的アーティストがまとうKIMONO
こちらは全米&世界アカペラチャンピオンのWomen of the worldさんのニューアルバムのジャケット撮影にて、アートディレクターを務めたときのものです。
オファーをいただいたときは光栄過ぎて「私なんかに務まるわけが……」と正直、尻込みしていたのですが、一度取りかかれば、あら不思議! 才能豊かな彼女たちのことを思うと、メイクデザインも、ドレス製作も「ワクワクし過ぎてアイディアが止まらないーっ!!」状態でした。
「撮影にはきものを使いたい。でも、普通に着るのではなくて、何か自分たちらしい新しい着方で!」という明確な提案があったので、そこからきものを逆さまにしてみたり、帯の上からきものを着てみたり……しばらくは自分の固定概念をぶっ壊すための格闘の日々が続きました。
そんな中、「きものドレスなら、インパクトのあるアクセサリーをしたらキマるかも!」と、ふと自分が今まで作りためていた金継ぎアクセサリーに目をやると……。
金継ぎって、Women of the world そのものだ!!と気づきました。
彼女たちは全く違う場所で生まれ、違う文化を持ち、たまたま、でも出会うべくして出会ったそれぞれのピース。それが、それぞれの美しい「声」を重ねた瞬間、唯一無二の特別なサウンドを生み出すんですね。
その瞬間、撮影テーマが決まり、すぐさまデッサンをメンバーのみんなや、フォトグラファーやアシスタントのメイクアップアーティストに送りアイディアを共有しながら、こんな素敵な作品ができ上がりました。
全米、そして世界チャンピオンである彼女たちが、きものや日本の文化に着目してくれたことは、日本人としてとても嬉しいことですよね。