京都&パリ ひみつの美味案内 世界の食都、京都&パリ。地元のグルメな方々に、現地に暮らすからこそ知っているおすすめの美味をこっそり教えていただきます。
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行楽の秋を味わう
(取材・文/西村晶子)
行楽の秋が到来し、そろそろ京都を訪ねられたら……と考えている方も多いことでしょう。紅葉の便りも気になりますが、このシーズンは何よりおいしいものが目白押し。そこで今回は、秋を堪能できるおすすめのお菓子、栗を丸ごと使った和菓子をご紹介します。
栗を丸ごと味わえる「ふく栗」。
ビジュアルの愛らしさも魅力
「ふく栗」1個250円。賞味期限10日間。地下鉄・烏丸御池駅に程近いところにある「二條若狭屋」は、1917年(大正6)創業の老舗菓子司。行楽の行き帰りにふらりと訪ねられるアクセスのよい場所にあり、創業以来4代にわたって季節の移ろいと京都の風雅を和菓子で表現し続けています。
「和菓子の味わいや形には季節の移ろいがありますが、素材そのものにも季節感があります。秋といえば、9月半ば頃から新栗が出てきます。栗のお菓子は心待ちにしておられる方が多く、人気の品が多いです」とはご主人の藤田茂明さん。
栗きんとんや栗蒸し羊羹、栗納豆など、京都の和菓子店ではいろいろな栗菓子が見られますが、“ここだけの栗菓子”として人気なのが、愛らしい「ふく栗」。栗そのままのビジュアルがひときわ目を引き、とても凝ったつくり。蜜煮にした丸ごとの栗をこし餡(あん)と栗餡で2層に包み、その上に羊羹をかけた手の込んだお菓子です。姿は愛らしいですが、味わうと重厚な甘みがあって、けしの実のプチッとした口あたりと香りが程よいアクセントになっています。
味も見た目も贅沢な「ゴールドくり」
「ゴールドくり」1個360円。賞味期限10日間。「ふく栗」の好評に応え、これをバージョンアップさせたのが金箔をかけた「ゴールドくり」。柔らかく炊き上げた栗の渋皮煮を、和三盆を効かせたこし餡で包み、羊羹をかけた上に金箔をあしらっています。容器も凝っていて、箱を開くとそのまま器として使えるデザイン。年によって開始時期が異なりますが、今年は9月から作り始めたばかり。知る人ぞ知る逸品です。
代表銘菓の「やき栗」や
餡と味わう栗菓子も
「やき栗」1個230円。賞味期限10日間。店の代表銘菓の中にも栗のお菓子があり、「やき栗」がそれ。厳選した大粒の栗を丸ごと栗餡で包み、表面をこんがり焼き上げています。口の中でほろりとほぐれ、栗本来のやさしい甘みが人気です。
写真左・「あずきと栗乃契」1個350円。賞味期限10日間。同右・「雪佳の秋」1個350円。賞味期限10日間。店内を見渡すと、他にも栗のお菓子が……!「あずきと栗乃契(くりのちぎり)」はその名のとおり、丹波大納言と大粒の栗を組み合わせたお菓子。カップ型のもなか種の中に丁寧に炊いたあずきと栗を詰めています。見た目は栗最中のようですが、口にすると別物。栗はほくほく、餡はしっとりで、上生菓子のような品のよい甘さです。
しっとりとした栗菓子を楽しみたい方には「雪佳の秋」がおすすめです。渋皮つきの栗を栗餡で包み、羊羹製の紅葉をあしらっています。パッケージの絵柄は神坂雪佳。目でも舌でも京都の錦秋が感じられる風情あるお菓子です。
秋は紅葉をはじめさまざまな趣向がありますが、和菓子の世界においても秋は題材が多く、一番いい時期。散策の途中に立ち寄って、甘くて小さな秋を見つけてはいかがでしょう。
この時期は栗菓子のほか、秋を感じさせるお菓子がいくつも楽しめる。風情ある店構え。二條若狭屋
京都府京都市中京区二条通小川東入る西大黒町333−2
電話 075−231–0616
営業時間 8時~17時
定休日 水曜
http://www.kyogashi.info※ご紹介した商品は公式サイト、寺町店でも購入可。
※価格はすべて税込み、送料別。
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関西を拠点に、京都の食や文化、人、旅を幅広く取材、編集。長年、『家庭画報』の京都企画を担当し、さまざまな記事を執筆。最近の書籍の仕事に『
旨し、うるわし、京都ぐらし』(大原千鶴著)がある。
撮影/伊藤 信 表示価格はすべて税込みです。