究極のお洒落着、大島紬は、普段着から特別なシーンまで、広く活用できる重宝なきものです。シックな泥染め、華やかな色大島、すっきりとした白大島とバリエーションも豊富。絣の美しさが際立つ「ほていや」の新作が届きました。
鹿児島市内や奄美大島の生産者とともに、毎年新柄を発表
きもの通の憧れ、大島紬は糸を染めてから織り上げる先染めの織物で、先染めは生糸の不純物が取り除かれるため、密度の濃い強い糸になります。身に纏(まと)うと、すっと体に寄り添う、軽やかでしなやかな着心地に特徴があります。
模様は、絣によって表現されますが、針の先のような小さな点で絣文様を合わせて織っていく作業は、大島紬独特のもの。ほていやでは、シンプルなものから個性的でお洒落なものまで、今の時代に合ったオリジナルの大島紬を発表し続けています。同時に和裁技能士の育成にも力を注ぎ、大島紬は、すべて国内で丁寧に仕立てられています。
伝統的な亀甲の絣柄に、唐草文様の帯で華やかに
きもの(縫製=林 正子)、帯(市楽(いちらく)装飾文様・洛陽織物袋帯)、半衿、帯揚げ、帯締め/すべてほていや絶妙な味わいのグリーン地の160亀甲の大島紬は、柄が細かいために、遠目からは無地のように見えます。160亀甲とは亀の甲羅に由来する六角形の文様のことで、さまざまな織物に用いられています。
中でも、亀甲はその亀甲の絣柄を反物の幅(約40㎝)に160も織り込んでいるという意味で、卓越した職人技による一枚です。白地にモダンな唐草風の文様を織り出した帯でお洒落に。
唐花文様の色大島に、組木文様の帯でモダンに
きもの(縫製=長南 彩)、帯(市楽組木文様・洛陽織物袋帯)/ともにほていや人気の花柄を明るめのピンク系で織り出した、洋風テイストのデザイン。黒地に幾何学模様の帯で甘さを抑えることで、きりっとした装いに。帯の模様の一部に、紫根(しこん)で染めた糸を使用し、文様の美しさを引き立てています。
半衿、帯揚げ、帯締めを同系色でまとめて、全体をはんなりとした印象に。半衿、帯揚げ、帯締め/すべてほていや草花文様の白大島に、モノトーンの帯ですっきりと
きもの(縫製=堀 友美子)、帯(南風原(はえばる)花織八寸帯)、帯揚げ、帯締め、バッグ、草履/すべてほていや「春霞」と名づけられた白大島は、白地に春の訪れを思わせる山野の草花を繊細な絣で表現しています。暈しの黒地の帯を合わせて、モダンな秋のお出かけ着に。
メリハリを効かせた、大人のお洒落感を織り出した琉球染織の帯。白、グレー、黒のグラデーションの美しさに、花織の存在感が光ります。 Information
株式会社ほていや
愛知県名古屋市中区平和2-2-17
撮影/岡田ナツ子 着る人/高垣麗子 着付け/赤平幸枝 ヘア&メイク /鈴木富美子(EMBELLIR) 構成・文/宮下信子
『きものSalon 2020-21秋冬号』掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。