ドラマとして放送された本作が劇場公開へ。「テレビ的、映画的な芝居というものはなくて、作品ごとに芝居を変えたいと思っています」「あれってなんだったの?」。観たあとに誰かと話せる作品
黒沢監督作品には初めての出演となった高橋さん。黒沢監督の演出について、「僕らがどう動いていくか、楔(くさび)は打ってくださるんです。けれど、どういう感覚になるかは、わりと委ねてくださっていたような気がします」と言い、撮影現場では「スタッフの方々の気概のようなものに触れるだけで、出演できてよかったな、もっというと生きていてよかったなと感じました。そういう感覚は、あまり得られるものではないので、撮影に行くときはワクワクしていたんです」と話してくれました。そして、黒沢監督の作品は、「人柄がすごく出ていると思います」。
「とても静かな風景が流れているんですが、実は水面下では激流が流れている可能性がある。そういうものを作ってらっしゃる方というか……。人間とは何かというようなものを、黒沢さんはずっと描かれてきたんじゃないかなと思います。それがすごく魅力的なんです」
さらに、本作については「とても汲み取ることが多くて、“あれはどういうことだったの?”と思われることもあるかもしれないです」とも。ただし、それは余韻にもなります。
「香りがずっと鼻の中に残るような映画なんです。そういうものって、時代がクリーンになればなるほど、なくなっていくような気がしていて。けれど、この作品にはそうではないところが確実にあると思います。観終わったあとに、“なんだかわかんないけど、すごく余韻が残るよね”、“あれってなんだったの”などと話せるような作品だと思うので、そこをぜひ楽しんでもらえたらなと思います」
高橋一生/Issey Takahashi
俳優
1980年12月9日生まれ、東京都出身。映画、ドラマ、舞台など幅広く活躍。近年の主な出演作に、大河ドラマ『おんな城主 直虎』、連続テレビ小説『わろてんか』、ドラマ『凪のお暇』、『竜の道 二つの顔の復讐者』、映画『空飛ぶタイヤ』、『億男』、『引っ越し大名!』、『ロマンスドール』などがある。2020年、舞台『天保十二年のシェイクスピア』の演技において第45回菊田一夫演劇賞を受賞。
『スパイの妻』
監督:黒沢 清
脚本:濱口竜介 野原 位 黒沢 清
出演:蒼井 優
高橋一生
坂東龍汰 恒松祐里 みのすけ 玄理
東出昌大 笹野高史
配給:ビターズ・エンド
2020年10月16日(金)より全国新宿ピカデリーほか全国ロードショー
公式サイト
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