目下の心配事は、「娘が6歳なので、いつパパ嫌いになるか」。「絶対、嫌いって言われるもん」と弱々しく言う渡辺さんが印象的でした。口をきかなくなったら、自立したと思っちゃえばいい
原作のエッセイを読むと、ただただ「どう育てたら、こんないい息子に?」と考えてしまいます。そう渡辺さんに伝えると、「息子、そんなによくないですけど(笑)」。と言いつつ、「かわいいですけどね。なんでも言ってくれますし」と加えます。
「親としては、小さい頃にもうちょっと一緒にいてあげたかったなっていう反省もあるんですよ。だから、息子が偉いんだよね。映画の中で、息子が説教するんですよ。“甘えてる”って。自分が言われてるみたいで響いちゃったなぁ。ホントそう、と思って反省しました(笑)。そんな僕が言えるのは、やっぱり心配の仕方じゃないですかね。親は心配が仕事。心配するから、いろいろ言っちゃうし。でも、信用してあげないと。難しいんですけど。僕もずっと、信用しようってやってきました。理解するというか、尊重するというか。それは親子じゃなくても、そう。“そういう考え方もあるんだ”って。
あとは、選択ですかね。なるべく選択させる。育てるというよりも自立させるっていう感じなのかな。だから、口をきかなくなったら、相談されなくなったら、もう自立したと思っちゃえばいいんじゃないですか? 考え方なんですよね」
物語として「現実とは違うところも、もちろん入っています」と渡辺さんが言う映画の、お弁当を通して我が子の成長を見守る父と、学校生活や進路など悩み多き息子。その姿と、お弁当作りのヒントもいっぱいな原作の渡辺さんと登生さん。ぜひ併せてお楽しみください。
渡辺俊美/Toshimi Watanabe
ミュージシャン
1966年12月6日生まれ、福島県出身。90年に「TOKYO No.1 SOUL SET」を結成し、音楽活動を開始。並行して、ソロユニット「THE ZOOT16」でも活動するほか、2010年には福島県出身のミュージシャン4人で「猪苗代湖ズ」を始動。翌年には『第62回NHK紅白歌合戦』に出場した。17年には、映画『パパのお弁当は世界一』に主演し、俳優デビューも飾る。
『461個のおべんとう』
原作:渡辺俊美『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』(マガジンハウス刊)
監督:兼重 淳
脚本:清水 匡 兼重 淳
出演:井ノ原快彦 道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)
森 七菜 若林時英 工藤 遥 阿部純子 野間口 徹 映美くらら KREVA やついいちろう 坂井真紀 倍賞千恵子
配給:東映
2020年11月6日(金)より全国公開
公式サイト
https://461obento.jpⒸ2020「461個のおべんとう」製作委員会