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ヨーロッパから海を渡ってきた“割れた古伊万里”。その数奇な運命とは?

2020.11.02

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第二次世界大戦時に破壊された
歴代城主のコレクション


オーストリア・ロースドルフ城のコレクションから「海を渡った古伊万里」
陶片の大半は東洋陶磁で、江戸時代に製作された有田磁器と、中国・清時代の磁器で占められる。日本の器類は古伊万里金襴手と呼ばれる華麗な絵付けの施されたものが多い。金彩が輝きを保っていることから、城内の装飾用だったことがわかる。

割れてしまった陶磁器を修復するという習慣がなく、廃棄されるのが通例のヨーロッパで、なぜこれらの陶片が今に伝えられているのでしょうか。それは、戦争当時の城主、フェルディナンド・ピアッティ氏の「このような悲劇を二度と繰り返すことのないように」という強い願いによるものです。破壊された陶片群は、城の歴史の象徴として大切に保管、展示されてきました。


オーストリア・ロースドルフ城のコレクションから「海を渡った古伊万里」
色絵花卉文瓶
修復が施された古伊万里の瓶。欠けや継ぎ目などが見え、破壊された様子が痛ましい。今回の展覧会には出品されないが、類品は展示される。

この地を訪れ、破壊された日本の器の姿を見て驚き、オーストリアにこのような場所のあることを広く知らせなければ、と動いたのが保科眞智子さん。

オーストリア・ロースドルフ城のコレクションから「海を渡った古伊万里」
「古伊万里再生プロジェクト」の代表理事、保科眞智子さん。5度にわたってロースドルフ城を訪れ、戦争遺産の古陶磁片を通して平和への道を探る活動をしている。

茶道裏千家教授であり、ピアッティ家とは在日オーストリア大使館で現城主の還暦の茶会を催して以来、親交を続けているかたです。保科さんは日本陶磁の研究者である学習院大学教授、荒川正明氏のもとを訪れ、この状況を伝えました。その後、荒川氏は調査のため四度にわたりロースドルフ城を訪れますが、その結果陶磁器群の中にはかなり質の高いものもあることが判明したのです。

オーストリア・ロースドルフ城のコレクションから「海を渡った古伊万里」
ザクセン国王から下賜されたと伝えられる高さ80センチにおよぶマイセン窯の白磁壺。

オーストリア・ロースドルフ城のコレクションから「海を渡った古伊万里」
城内の一室にインスタレーションされた陶片群は、一般にも公開されている(要予約)。

オーストリア・ロースドルフ城のコレクションから「海を渡った古伊万里」
のどかな田園地帯にあるロースドルフ城の外観。城の広大な土地にはオーガニックの畑が広がり、近隣にはワイナリーやオーベルジュもある。
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