人生100年時代の新しい“自然療法”。 健康寿命を延ばす「ガーデンセラピー」第3回(最終回) 国の健康政策が“病気を治す”ことから“病気にならない”予防医学を重視した方向に大転換する中、植物の健康効果について見直す動きがあります。一方、芳香療法、園芸療法、森林療法、食事療法、芸術療法の各分野では植物の健康効果に関する研究が行われてきました。近年、これらを統合して植物の力を日常的に役立てられるよう緑に囲まれたライフスタイルを無理なく楽しむ自然療法、「ガーデンセラピー」が提唱されています。植物とともに暮らす新しい生活で五感を大いに刺激して人生100年時代の健康づくりに生かしていきましょう。
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池田明子さん(植物療法士・フィトセラピスト)
屋上庭園の芳香に包まれてハーブティーを味わう30種類以上のハーブが育つ屋上庭園は、植物の香りに癒やされる。ハーブはご自宅で使用するだけではなく、ご自身の学校の授業に活用することも。池田明子(いけだ・あきこ)さん植物療法士・フィトセラピスト。西九州大学客員教授。日本フィトセラピー協会と日本ハンドケア協会代表理事を兼任。植生工学士。2006年、東京・自由が丘に設立した植物療法士とハンドケアセラピストの養成学校「ソフィアフィトセラピーカレッジ」(https://www.sophia-college.jp/)校長を務める。植物の力を伝える著書も多数。夫は俳優の梅沢富美男さん、2女の母。心を癒やし、免疫力を調整。
ハーブで美と健康を保つ
摘みたてのリーフをフレッシュハーブティーに秋にも活用できるハーブ2種は摘みたての葉に熱湯を注いでハーブティーにすることが多い。左からローズマリー、レモングラスとローズマリーのミックス、レモングラス。レモングラスは長いままポットに入れると美しい。「ハーブはもともと野山に自生するため、育てるのはさほど難しくありません。成長を楽しみながら、ハーブティーや入浴剤などが簡単に作れるのでおすすめです」と池田明子さん。池田さんは、植物がある暮らしの大切さと楽しさを伝えるため、2006年にハーブ療法とアロマセラピーを活用するフィトセラピーの専門家を養成する学校を設立しました。
植物に目覚めたきっかけは、「臨床検査技師として、大学病院に勤務していた時。どうしたら病気にならずに済むのかと考えるようになり、勉強を重ねて自然治癒力の素晴らしさを知りました」。
今、コロナ禍でも体がハーブを求めており、特に女性には欠かせないと池田さんはいいます。
「女性のホルモンバランスを整える品種も多く、また、どのハーブも免疫力を高める力があります。心を鎮静化し安眠にもつながるので、わが家の健康の源です」。
屋上庭園に育つハーブを、日々の生活に取り入れて
1.セントジョーンズワート。夏至の頃黄色い花が咲く。薬効が高まる開花時だけに摘み取りドライハーブとして保存する。落ち込んだときによい。
2.カラミンサ。春から秋にかけて白い花を咲かせる。ほのかなミントのような香りが特徴。消化促進や発汗、風邪の症状を和らげる作用がある。
3.エキナセア。初夏から秋まで大輪の花を咲かせ、手入れも簡単なことから園芸用に育てる人も。免疫力に活力を与えることで人気が高いハーブ。
4.チェストベリー。7月~9月頃に開花。果実を使用するハーブで女性ホルモンのバランスを調整する。ローマ時代から月経不順の緩和に利用した。
5.ウィンターセボリー。一年中収穫できピリッとした辛みとすっきりした味わいがある。スープのブーケガルニの材料など料理に生かすことが多い。