日常に気軽に取り入れられるハーブガーデンの楽しみ方
キッチンハーブを育てて料理のトッピングに生かすハーブガーデンの大きな手入れは春と秋。パクチー、バジル、イタリアンパセリなど、家族がお気に入りのキッチンハーブも植えて、パスタやサラダなどの風味づけに活用する。暑さが和らぐ秋は、ハーブも元気を取り戻し、池田さんの屋上庭園でもたくさんの種類が顔を揃える季節です。
「秋にも利用する主なハーブは、レモングラス、ローズマリー、ゼラニウム、レモンバーム、セージですね」という池田さん。それぞれの効果についても、詳しく教えていただきました。
リビングの中央に飾る多彩なハーブアレンジレモングラスだけを大胆に生けたり、花をつけたハーブを数種類アレンジしてリビングの彩りとして楽しむことも多いそう。香りもよく、心からリラックスする空間が演出できる。「レモングラスは抗菌作用があるため、風邪の予防や健胃、消化促進などに使われます。ローズマリーは“脳に活力を与えるハーブ”。認知症予防によいという説も。香りが高く、丈夫なゼラニウムは“バランサーのハーブ”と呼ばれ、皮脂のバランスやホルモンバランスを整えることで知られています。レモンバームは“心のハーブ”の代表格。私も大好きで、日々の緊張感や疲労感を和らげてくれます。セージは“更年期のハーブ”。ホットフラッシュなどを鎮静化することで有名です」。
では、池田さんが親しんでいるハーブ療法には、どのようなものがあるのでしょうか。
バスタイムに季節の生ハーブを浮かべる(右)摘みたてのハーブを麻紐で縛り、菖蒲湯のようにバスタブに浮かべるとよい香りに包まれてリラックスできる。レモングラスやゼラニウムなど、香りが立つ種類を選ぶとよい。一年中利用できるドライハーブ(左)摘んでから最低2週間以上、風通しのよい場所に干すとドライハーブになる。見た目がカラカラになったら、細かくカットして袋に入れて冷暗所に保存し、お茶や薬酒に利用。「生の葉を使うなら、ハーブティーやハーブ風呂にして、香りや味を簡単に満喫できます。蒸留酒に漬け込むチンキは、薬酒として飲んだり、化粧水や入浴剤などとしても利用できます。採取する時期が限られたハーブは、長く保存できるドライにしてさまざま活用します」。
愛でるだけではなく“使える庭”。まずは気軽にできるハーブから始めてみませんか。
「これからハーブを始めたいかたのよきお手本です」
岩崎 寛先生
(緑の健康効果の研究と普及に取り組む岩崎先生。「ガーデンセラピー」がテーマの城戸真亜子さんとの対談は
こちら>>)
ハーブのよいところを引き出し、とことん使いこなしているところはさすがハーブを知り尽くした池田さん。
うがい薬になるチンキや薬酒といったハーブの効能を生かした使い方はもちろんのこと、花束のようなアレンジをするなど美しく見せる手法にも気を配っていらっしゃるところが参考になります。
リビングなど長い時間を過ごす空間の中で、常に視界に入る場所に植物があると心からリラックスできるのでおすすめです。
〔特集〕人生100年時代の新しい“自然療法” 健康寿命を延ばす「ガーデンセラピー」(全3回)
撮影/鍋島徳恭 ヘア&メイク/矢野トシコ〈sashu〉 取材・文/小倉理加
『家庭画報』2020年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。