河瀨直美監督作には、2015年公開の映画『あん』以来の出演となった浅田美代子さん。久しぶりの河瀨組は、「正直怖かった」と言う。実の子を持つことが叶わず、特別養子縁組で男の子を迎えてから6年たったある日、栗原夫妻のもとに産みの母を名乗る女性から電話が……。辻村深月さんによるヒューマンミステリーを河瀨直美監督が映画化した『朝が来る』。先頃、栗原夫妻の夫・清和を演じた
井浦 新さんのインタビューをお届けしましたが、今回は特別養子縁組を斡旋するNPO法人「ベビーバトン」代表・浅見静恵役の浅田美代子さんにお話を伺いました。
——キャスト発表時、「怖かった」とコメントされていましたね。「河瀨さんには、芝居が通用しないので怖かったんです。『あん』は初めてだったから、緊張だけだったかな。でも、今回は2度目の河瀨組だし、ベビーバトンという組織をちゃんと知っていなければいけないし。受験勉強のように特別養子縁組について勉強しました。斡旋されている団体の代表の方にも何度もお会いしましたし、実親さんにも養親さんにも何組も会って。説明会のシーンがあって、映画だと少ししか映ってないんですけど、実際は1時間くらい説明をしたりしているんですよね。だから、全部わかっていないといけなくて、叩き込みました」
——そのベビーバトンの説明会に参加されていたのは、実際に特別養子縁組を希望するご家族で、浅見が質問を受ける場面もありました。「どんな質問が来るか、台本にはなくて。でも、“えーっと”なんて資料を見たりできないので、すべての制度を飲み込んでやりました。だから、一番緊張しましたね、説明会のシーンは。間違ってはいけないから。しかも、最初に撮ったシーンだったんですよ」