12月 三井の晩鐘
文/細野晴臣
思えば今年はスペイン風邪に次ぐパンデミックとして歴史に残る1年を過ごしたことになります。
それでも桜は咲き、暑い夏を迎え秋の虫を聞き、いつものように年の瀬を迎えようとしています。
大晦日には年越しそばを食べ、除夜の鐘に耳を澄まし、百八つの煩悩を一つずつ解きほぐしていきたいものですが、近頃は鐘の音も遠ざかり、テレビの中継を聴いて過ごすことが多くなりました。
除夜の鐘が騒音に聞こえる人もいるようですが、鐘は時を知らせ、危機の合図なので耳に届かなければ意味はありません。
鐘に近づけば大きな音になるのは当然ですが、その鐘の中に入れば静かだということを幼い時に知り、実行したことがあります。
確かに静かなもので、鐘と一体化する不思議な経験でした。ただし、ここで紹介する「三井の晩鐘」の中には入らないように。叱られるかもしれません。
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細野晴臣(ほその・はるおみ)
音楽家
1947年東京生まれ。1969年「エイプリル・フール」でデビュー。1970年「はっぴいえんど」結成。73年ソロ活動を開始、同時に「ティン・パン・アレー」としても活動。78年「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」を結成、歌謡界での楽曲提供を手掛けプロデューサー、レーベル主宰者としても活動。YMO散開後は、ワールドミュージック、アンビエント、エレクトロニカを探求、作曲・プロデュースなど多岐にわたり活動。
公式サイト
www.hosonoharuomi.jp 出典・音響提供/環境省「残したい“日本の音風景100選”」 写真上/エムオーフォトス(アフロ)写真下/三井寺
※こちらの音は、公益社団法人日本騒音制御工学会ホームページ「日本の音風景100選/サウンドライブラリ」からも聴くことができます。
『家庭画報』2020年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。