美味なるヴィーガン料理をイタリアの極上ワインとともに
健康的な食生活や宗教的な理由に基づくベジタリアンからさらに一歩進んだ、動物や動物に由来するものを摂取しないヴィーガン料理。ヴィーガニズムとは、倫理的な考えからイギリスで提唱された思想ですが、2010年頃よりアメリカやヨーロッパのレストランなどでヴィーガンメニューを提供することが広まりました。特に、高度なテクニックを使うガストロノミー(美食学)の世界では、トップレベルの料理人たちがよりおいしく、ユニークなヴィーガン料理をクリエイトしています。
「ファロ」の店内。銀座の名店「ファロ」が提案するヴィーガン料理とは
東京・銀座にあるレストラン「ファロ」のエグゼクティブシェフである能田耕太郎さんは、1999年に渡伊。自身がシェフを務める店が2011年にミシュランガイドの一つ星に評価され、さらに現在オーナーシェフを務めるイタリア・ローマの「ビストロ64」は、2017年よりミシュランガイドの一つ星に認定されています。
ローマでは伝統的なイタリア料理を新しい感覚で再構築した料理を提供する一方、東京では日本の希少な食材を、イタリア料理の発想をベースに高度な技術で昇華させたイノベーティブ料理を展開。肉や魚介も使うガストロノミーメニューと、ガストロノミーヴィーガンメニューの両方を提案しています。
ジャガイモのスパゲッティ能田シェフのシグニチャープレートのヴィーガンバージョン。ジャガイモをスパゲッティに見立てた一品。本来は南イタリア産魚醤とバターをソースとして使うが、動物性のものはすべて除き、植物由来の素材とスパイス、ハーブでほんのり甘くライトな風味に仕立てている。能田シェフにとって、肉や魚介、乳製品を使わないヴィーガン料理は、無限の可能性を秘めた料理分野。特に、日本には精進料理の伝統があり、その食材の豊かさ、味わいの奥深さのおかげで、動物由来の食材を用いることなく、バラエティに富んだ美食の世界を表現できると語ります。
お米とパプリカのミルフィーユパプリカが主役の一品。赤と黄色のソースはパプリカ、緑色はローズマリーのオイル。カルナローリ(イタリアの米)をチップスに仕立て、スモークしたピメントのパウダーをアクセントに、炭火で焼いたパプリカをオリーブオイル、塩、パセリで和えたものと重ねてミルフィーユに。食事の最初から最後までスパークリングワインで通すのが好き、と言う能田シェフ。「特にフランチャコルタは、オーガニックやビオディナミ、ヴィーガンなど自然派の造り手が増えています。葡萄本来の味わいを楽しめるフランチャコルタの魅力をヴィーガンメニューとともに体験していただきたいと思います」と語ります。
ズッキーニのリゾット緑のズッキーニをペーストにしてミントを混ぜたものと、グリルしたズッキーニ、隠し味に自家製の赤大豆味噌を使ったリゾット。できたての熱いリゾットに黄色ズッキーニのピュレを凍らせたディスクをのせ、熱で溶けたところを混ぜて味わう。フランチャコルタは、イタリア北部ロンバルディア州、ミラノに近いイゼオ湖畔の丘陵地帯・フランチャコルタで、伝統的な瓶内2次発酵で造られる極上のスパークリングワイン。生産域内では116のワイナリーが厳格で綿密な基準に基づいて製造し、イタリアでも最高峰のDOCG(統制保証原産地呼称)に認定されています。
ピノ・ノワールとシャルドネが醸し出す豊かな果実味、シャルドネだけで造られるブラン・ド・ブランの繊細な味わい、そのどちらもが絹のように滑らかな泡立ちを伴い、イタリアでは格式の高い饗宴の幕開けに欠かせない存在です。
限定ポップアップバー「Franciacorta×Faro Pop-Up Bar」(FFポップアップバー)で提供されるフランチャコルタのラインナップ。左から、「フェルゲッティーナ・ロゼ」、「ヴィッラ・クレスピア・チジオーロ・ドサッジョ・ゼロ」、「エンリコ・ガッティ・サテン」、「カ・デル・ボスコ・アンナマリア・クレメンティ・ブリュット」。女性に人気のあるロゼ、自然派が愛好する補糖ゼロ、シャルドネだけで造られるサテン(ブラン・ド・ブラン)、ハイエンドのブリュットが揃い、フランチャコルタの奥深さを体験できるセレクションとなっている。ヴィーガンメニューを極上のスパークリングとともに
このほど、能田シェフのヴィーガン料理とフランチャコルタのコラボレーションを楽しめる限定プランが期間限定で登場します。
2020年11月19日(木)~12月18日(金)の間、バーコーナーにセッティングされた、限定ポップアップバー「Franciacorta×Faro Pop-Up Bar」(FFポップアップバー)で、ヴィーガンのフィンガーフードとともに「ファロ」のソムリエがセレクトした4種類のフランチャコルタをフリーフローでお楽しみいただけます。
店内の一角にあるバーコーナー。能田シェフの料理とフランチャコルタのペアリングをもっと楽しみたい方は、メインフロアのテーブル席へ移動し、ヴィーガン料理のショートコース(またはガストロノミーのショートコースやアラカルト)を、引き続きフランチャコルタと味わうことも可能。
ワインとの相性をポイントに一皿一皿のメリハリをつけた特別なコースを味わう今回のプランは、ヴィーガン料理の新しい可能性とフランチャコルタの多彩な世界を堪能できる貴重な機会です。
山口農園の花のタルト花とハーブと野草のタルト。野草は山にひっそりと自生している在来種、そこにイタリアのハーブなどを組み合わせている。本来は、牛舎を使わずに完全に野山で放牧している岩手県の生産者から、毎日送られてくる牛乳で作った自家製のマスカルポーネクリームを下に潜ませているが、ヴィーガンバージョンはお米のクリームを使っている。 Information
ファロ Faro
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル10階
※料理内容は変更になる場合があります。 撮影/池田匡克 取材・文/池田愛美