今回ご紹介するのは「薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)」の作り方です。日ごとに気温が下がるこの頃、できたてほくほくのおいしさは格別です。薯蕷とは山の芋のこと。すりおろした山の芋に砂糖を丁寧にすり混ぜ、米粉と合わせた生地で餡(あん)を包み、ふっくらと蒸し上げます。
白い皮に入れた緑のぼかしは、織部(おりべ)釉を写したもの。表面に施される焼き印も陶器からとったもので、焼いた金串の先や元を使えばさまざまな文様を表現できます。
茶道裏千家教授の資格を持ち、茶道と和菓子の教室「さろん閑遊」を主宰している清 真知子(きよし・まちこ)さんに、作り方を教えていただきました。
11月の薯蕷饅頭の主菓子
「織部薯蕷」の作り方
【材料(12個分)】
・山の芋(すりおろし) 50g
・上白糖 100g
・上用粉 60g
・粒餡 300g(ひとつ25g) ※粒餡の作り方は
こちら>>・抹茶、水 各小さじ1
・食紅(緑) 適宜
・酢水(酢1:水2) 適宜
・上用粉(手粉) 適宜
【準備】
粒餡を12等分して餡玉を作る。抹茶を水で溶き、食紅を加えておく。
【作り方】
(1)山の芋をすり鉢ですり、上白糖を4〜5回に分けて少量ずつ加える。
(2)その都度、粘りとツヤが出るまでよくする。
(3)大きめのボウルに上用粉を入れ、(2)を加える。
(4)周囲からたたみ込むように、上用粉がなくなるまで丁寧に混ぜ込む。
ポイント◆粉を混ぜ込むときに、山の芋に含ませた空気を抜いてしまわないように注意する。(5)(4)の生地を少量取り、準備しておいた水溶きの抹茶で緑に染める。
(6)台の上に上用粉を広げ、白と緑の生地を棒状にする。白い生地の上に緑の生地をのせ、つなぎ目を指でなじませる。
(7)カードで生地を12等分に、1つ15gになるよう計りながら切る。
(8)(7)の生地を丸くのばす。断面の緑と白の境目から指で広げるようにすると、ちょうどいいぼかし加減になる。
(9)餡玉を包み、球形に形を整える。
ポイント◆空気が入ると蒸したとき破裂するので注意する。(10)クッキングシートを敷いた蒸し器にならべ、酢水で霧吹きをしたら、蓋に露受けの布巾をして強火で8〜9分蒸す。
(11)蒸し上がったら手早く扇いでツヤを出し、好みで梅、井桁(いげた)、木賊(とくさ)などを焼いた金串で描く。
【保存法と日持ち】
常温で保存。作ったその日のうちに食べ切る。ラップを敷いた密閉容器に入れ、冷凍保存も可能。
いかがでしたでしょうか。12月は、椿を写した「外郎(ういろう)」などのご紹介を予定しております。どうぞお楽しみに!・秋の山のうつろいを写した美しい「練り切り」・上品な甘さでまったりとろける。京都の和菓子「葛焼き」の作り方・「#やさしく作れる本格和菓子」の記事一覧 清 真知子/Machiko Kiyoshi
1960年神戸市に生まれる。83年裏千家学園茶道専門学校卒業。96年神戸市内に、2002年に東京・学芸大学に和菓子教室を開く。現在、茶道裏千家教授、茶道と和菓子の教室「さろん閑遊」を主宰。デモンストレーションと実技で構成される和菓子教室は、季節感溢れる美しい和菓子が初心者でも上手に作れると好評を博している。2014年兵庫県明石市に教室を移転。清さんが主宰するYouTubeチャンネル「本格和菓子」は
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今回ご紹介した和菓子を含め、主菓子と干菓子55のレシピを掲載。豊富なプロセス写真とわかりやすい文章で、ご自宅での和菓子の作り方をご紹介しています。
清 真知子 (著)
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撮影/浮田輝雄