母のタンス、娘のセンス

女優・一色采子の 「母のタンス、娘のセンス」〜霜月便り

2020.11.11

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「SAIKO STYLE」を開設しました

皆さま、大変ご無沙汰しております。今年はきものでのお出かけの機会が限られた1年でした。外出がままならないため、なんとか自分なりにきものの楽しさを発信したいと構想を重ね、ホームページ「SAIKO STYLE〜女優・一色采子のきもの遊び&Happy Life」を立ち上げました。

『きものSalon』や書籍『一色采子のきものスタイルBOOK 母のタンス、娘のセンス』に登場したアイテムも、新たなアイテムの足し算によってさらにブラッシュアップしたコーディネートを、動画やブログというかたちでご紹介しています。ご覧いただけましたら幸いです。

今回は、ブログの中から秋深まる11月の“お家きもの”のアイディアをご紹介させていただきます。

温かみのある刺し子刺繍のきものと帯



福島県二本松市は日本画家だった父の故郷。二本松にある父の美術館で大きな企画展が催されるときには、私は美術館に通いきもの姿で毎日作品のご紹介をしていました。

そんな姿をご覧になった二本松のとあるご婦人が、「ずっと昔に趣味で刺したきものと帯を采子さんに着ていただきたい」と知人を介して譲ってくださいました。



それが、この見事な刺し子刺繍による麻の葉模様のきものと全通柄の青海波の帯です。

兵児帯を合わせた洒脱なお家きものスタイル


そのきものを早速に羽織ってみたところ、私の着丈には短すぎました。きものは総柄で刺繍されていて丈出しができないので、対丈(ついたけ)で着ることを思いつきました。

手間のかかる刺し子刺繍ですが、本来は「古いきものや布に美しい幾何学模様を刺し、補強しながら大切に着る」という江戸時代に庶民の知恵から発展した工芸。お太鼓結びで装うイメージがわかず、兵児帯をコーディネートするアイディアが閃きました。



父の箪笥に総疋田絞りの兵児帯が眠っていたはず……と探したのですが、どうやら断捨離をしてしまったらしく見つからず。絞りの浴衣地で代用。帯板を使わず、わざと無造作に三重巻きにして厚みを出し、大きくふんわりと結びました。お相撲さんがラフにぐるぐると巻くようにカジュアルにした兵児帯スタイルで、気取らず抜け感のある装いが完成しました。

友人を招いたお家きもののひととき


この日は、庭の草花を玄関にいけて友人を招いてランチ会。


刺し子のきものはとても暖かく、晩秋のお家きものにぴったりです。ストールを羽織って、軽やかなワンマイル・スタイルとしてご近所へ買い物に行くのにも気分が上がります。お出かけの機会が限られている今こそ、みなさまも“お家きもの”をぜひ楽しんでください。






「SAIKO STYLE〜女優・一色采子のきもの遊び&Happy Life」
ぜひご覧ください!



●一色采子さんの公式ホームページ「SAIKO STYLE」
URL:https://www.saiko-style.com

一色采子/Saiko Isshiki


日本画家の故・大山忠作氏の長女として東京都に生まれる。毎日をきもので暮らしたお母様のもとで、コーディネートや着こなしのセンスを磨き、現在はファッションのアイテムを取り入れながら独自のスタイルを楽しむ。趣味の日本舞踊や三味線、長唄では名取になるほど、古典芸能への造詣も深い。現在は、福島県にある二本松市大山忠作美術館の名誉館長や二本松市の観光大使も務める。



『一色采子のきものスタイルBOOK 母のタンス、娘のセンス』

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撮影/岡積千可 ヘア&メイク、着付け/林 さやか 構成/樺澤貴子
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