あなたに微笑みかける、心の中に一輪の花
文/川野泰周(林香寺住職・精神科医)静かに手に取った一輪の花。その美しさに彼は笑みを浮かべました。
ブッダはある日、弟子のマハーカッサパのそんな様子を目にして、彼に教えを継承させることを決意しました。
この世で最も美しいものとは、道路端にひっそりと咲く花を見て美しいと感じる、その人の心ではないでしょうか。
ゆっくりと呼吸を調えて、心の中を探してみたら、きっと見つけることができるでしょう。「わたし」という名の小さな花を、微笑みながらいつも見守っている、優しき人の眼差しを。
『家庭画報』2020年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。