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絆創膏のように貼れる「体の計測デバイス」で未来の医療はどう変わる?

2020.11.17

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より装着感がよく、炎症を起こさない材料を開発中


このようなデバイスには皮膚に添うしなやかな材料、皮膚に炎症を起こさない安全性、弱い信号や微量の物質でも検知できる精度、コストの安さなどが求められています。医療用であれば承認を取るための手続きも大きな壁になります。

皮膚に炎症を起こさないために、横田さんたちは2016年にごく細いナノファイバーを作り出し、それをメッシュのシート状にした電極を作製しました(下の写真)。

ナノメッシュ電極


皮膚に炎症を起こさず、快適に装着できるよう、横田さんたちが開発したナノファイバー電極を指の外側に貼った例。

この電極は肌なじみがよく、汗腺の孔の部分には自然に空洞ができて、汗の分泌を妨げないこともわかりました。

そして、このナノファイバー製電極を用いたデバイスで、今年、10時間安定的に心音を測定し、結果をスマートフォンに送ることに成功しました。

ほかにも信号を増幅して検知させる技術も研究中です。

ナノメッシュ電極

(1)まず直径がナノメートル(1ナノメートルは0.000001ミリメートル)単位の細いファイバーを作製、その上に金属を成膜することで電極にした。(2)(3)(4)は指の内側に貼ったもので、皮膚の凹凸にきれいに添い、汗腺の孔の部分では自然に空洞ができていた。このナノファイバー電極でセンサーをはさんで3層構造にしたデバイスを腹部に貼り、心音を10時間安定的に測ることにも成功している。

「スキンエレクトロニクスとも呼ばれるこの研究分野は、材料開発や画像化、解析などの技術の発展でここ10年で大きな進展を遂げました。

私が所属する研究室の染谷隆夫教授が2003年に作製したロボットスキンと同等の機能を持つ最新の薄膜を比べると、その厚みは1000分の1以下になっているほどです。GoogleやAppleといった大企業も本腰を入れて研究しています」と横田さん。

「薄膜を使うデバイスは、信号の種類によってはヘルスケアに使える程度の精度は出ていますが、医療用となるとまだまだ。

しかし、5〜10年以内にまさに絆創膏のように貼ったりはがしたりできる、あるいは使い捨てできる医療用デバイスが市販されると考えています。

そこに向かって研究を加速していきたいですね」と抱負を語っています。
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