千疋屋総本店 日本橋本店シンプルかつ洗練されたショートケーキは、一番人気のケーキ。フルーツ専門店ならではの大粒でジューシーないちご、甘みとこくが絶妙なクリーム、ふんわり柔らかなスポンジが至福の味わいを生み出します。12月頃~5月頃は国産いちご、6月頃~11月頃はアメリカ産いちごを使用。
東京都中央区日本橋室町2-1-2 日本橋三井タワー1階
TEL:03(3241)0877
営業時間:10時~18時 不定休
苺ショートケーキ 5号6804円(税込み)日本生まれ、日本育ち。みんな大好きショートケーキ
「ショートケーキ」について調べると、日本の歴史も見えてきます。いかにして海外のトレンドを取り入れ、日本独自の食文化にしていったのでしょうか?
実は日本生まれのショートケーキ
「不二家」創業者の藤井林右衛門氏は、1912 年にアメリカの洋菓子市場で、スコーンのようにサクサクしたビスケット生地と生クリーム、いちごを重ねた「ショートケーキ」を目にします。彼はそれを日本人の口に合うようアレンジし、1922 年に発売。これが日本でのショートケーキの先駆けといわれます。
一方「コロンバン」は、フランスで本格的な菓子について学んだ門倉國輝氏が、1924 年に創業。やはり日本人が好む洋菓子の必要性を感じ、ショートケーキを考案しました。
1958年頃の「不二家」店頭。果物がない冬は缶詰品や栗を飾ったが、この頃にいちごのハウス栽培が普及し、冬も登場するようになった。人気の背景に歴史あり
発売当初の「不二家」のショートケーキの土台は、カステラ生地だったという記録があり、「コロンバン」のそれも、全卵に同量の卵黄を加えた、カステラに近い配合のものでした。「南蛮菓子」として伝来したカステラが日本人の好む菓子として受け入れられていたことが、ショートケーキの人気を後押ししたといえます。
1924 年には東京・新橋で牧場を営んでいた「中沢乳業」が、業務用生クリームの生産を開始。1950 年前後には家庭向け冷蔵庫が普及し、バタークリームから生クリームを使ったケーキへと売れ筋が変化していきます。
1959年頃の「コロンバン」のパンフレットに載っていたいちごのショートケーキ。創業時は銀座に店があり「中沢乳業」の乳製品を使っていた。愛され続ける理由
ショートケーキの醍醐味は、ふんわりしっとりとしたスポンジと、口どけのよい生クリーム、甘酸っぱいいちごの3者のバランス。日本より乾燥した気候の欧米諸国では、噛みしめる生地や濃厚なバタークリームが好まれますが、湿潤な気候の日本では柔らかな食感や口どけが好まれます。ショートケーキの食感はまさに理想的。さらに、白い生クリームに赤いいちごという色合わせは「日の丸」のイメージで親しみやすく、日本の「お祝い」を象徴するものです。
こうしてショートケーキは「ハレ」の場に欠かせないものとなり、世代を超えて愛されているのです。
不二家 数寄屋橋店東京都中央区銀座4-2-12 銀座クリスタルビル1階
TEL:03(3561)0083
営業時間:11時~21時
4月・11月の第3月曜定休
プレミアムショートケーキ(国産苺)520円(税込み)
コロンバン 新宿小田急本館店東京都新宿区西新宿1-1-3 小田急百貨店新宿店本館地下2階
TEL:03(3349)0045
営業時間:10時~20時
定休日:百貨店に準拠
ショートケーキ550円
時代を超えて愛される しあわせ「ショートケーキ」(全7回)
表示価格は原則として税別です。
撮影/大山裕平 本誌・西山 航 取材・文/平岩理緒
『家庭画報』2020年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。