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美味手帖

銀座で話題の“ホール”ショートケーキ専門店。おいしさの秘密は?

2020.12.03

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時代を超えて愛されるしあわせ「ショートケーキ」 第2回 世代や性別を超えて愛される定番スイーツ、ショートケーキ。シンプルだからこそ奥深い味わいの秘密に迫るとともに、今、食べたい全国のショートケーキを、厳選してお届けします。前回の記事はこちら>>

ホールショートケーキ専門店に聞く「おいしさの秘密」


2年前に銀座でオープンし、口コミで話題となったショートケーキ専門店「クレーム フレーズ ジェノワーズ」に、ショートケーキを構成する3つのおいしさの秘密を伺いました。

ホールショートケーキ専門店に聞く おいしさの秘密
関口倭代さん
「クレーム フレーズ ジェノワーズ」のオーナーシェフ。横浜のホテルや「patisserie DEFFERT」のオープニングスーシェフを経て渡仏。ニースの「Patisserie Cappa」でスーシェフ代理も任される。帰国後に洋菓子コンサルティング会社を設立、2018年12月にオーナーシェフとして自店をオープン。

01.いちごの秘密


ホールショートケーキ専門店に聞く おいしさの秘密
クリームが生地になじんだときにいちご同士が固定し合うよう計算して並べられている。へたの青さも鮮度の証。

各地から届く、季節ごとに状態のよいいちごを使用。ケーキ全体の味や色のバランスを考え、酸味があり断面も赤いものを選びます。シェフ自ら生産者のもとを訪ね、質の高いいちごを直送してもらっているというこちらでは、サンド用と飾り用でいちごの種類が異なります。いろいろないちごを食べてほしいという思いから、北は北海道、南は九州から届くものまで、多いときは6種も使うそう。それを刷毛で掃除して使うのが毎朝の日課です。

02.クリームの秘密


ホールショートケーキ専門店に聞く おいしさの秘密
下塗りを2回施し、表面をきめ細かに仕上げる。最小限のパレットナイフの動きとスピードは見事。少し固く立てたクリームで流麗なラインとローズを絞った上に、波打つ雲のように絞る。どこから見ても美しく、それぞれ表情の異なる姿となる。

乳脂肪分の数値よりも、泡立て方により甘さや口どけの印象が変わります。加える砂糖の量も、合わせる果物の糖度や季節によって変えるのがポイント。まず泡立て器で混ぜて砂糖をある程度溶かした後、卓上ミキサーで回し、最後は氷水に当てながら手立てで調整します。2種の純生クリームをブレンドしたクリームは、たっぷりの量でももたれることがなく、生クリームは苦手だけどこの店だけは別、とおっしゃるお客さまも多いとか。

03.スポンジの秘密


ホールショートケーキ専門店に聞く おいしさの秘密
3枚にスライスしたスポンジは、しならせても破れないほど水分を保っているため、シロップを打つ必要がない。

スポンジの基本の材料は、卵と小麦粉、きび糖、バターのみというシンプルな配合。それだけに、夏は鶏が水を多くとるため卵の水分が多いなど、季節による変化も見極めることで、しっかりと気泡を抱き込んだ、きめ細かな生地が焼き上がります。こちらで使用している餌にもこだわった平飼い鶏の卵は、一般市場には出回らないものでしたが、生産者にケーキを作って届け、食べて納得してもらうことで、ぜひ使ってほしいといわれる関係を築きました。
撮影/大山裕 取材・文/平岩理緒

『家庭画報』2020年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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