――瀬戸さんが演じる新入りライターのルーカスは、ストーリーテラーの役割も担うだけに、台詞も多そうです。「そうなんです。しかも、みんなと一緒にその場にいるルーカスと、ちょっと未来からみんなを見ているストーリーテラーのルーカスが混在していて、そこが難しい。自分の中では、“ここのくだりは昔の記憶を語るような感じで言おう”とか“ここはまさに、みんなと一緒にいるルーカスだな”というふうに、切り替えるようにしています。ヘレン役(マックスの秘書)の青木さやかさんが、1幕の稽古を見ながら話されていたんですが、お客さんはルーカスの目線を通して物語を観ていくことになるのかなと。客席と舞台をつなぐ役割をしっかり果たせるように頑張りたいです」
――ニール・サイモンの下積み時代の体験が色濃く反映されている本作品。ルーカスは若い頃のサイモン自身だと言われていますが、どう感じていますか?「正直、僕自身はあまりそこに執着していません。ニール・サイモンには詳しくないし、上演台本は三谷さんが手がけていますし。自分としては、憧れの職場に入ったばかりのルーカスのリアクションを大事にしたいと思っています。ルーカスは一応仕事もしているんですが、先輩たちのやりとりが面白すぎて、みんなの会話一つひとつが気になって仕方ないんです(笑)。あとはやっぱりチームワークが大事かなと。コメディに大切なテンポ感も、そこで決まってくると思うので」
昨年出演した舞台『ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~』(作・演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ)では4役を演じた。