――ルーカスのような新人時代、ご自身はどんな思いで過ごされていましたか?「僕の場合は、親が勝手に応募したオーディションが、この世界に入ったきっかけだったんです。それで、ありがたいことにお仕事をいただいて、ドラマとか舞台をやらせてもらいながらも、最初の頃は“そもそも自分が入りたくて入った世界じゃない”という思いがベースにありました。もちろん、やっているときは一生懸命だし、楽しいんだけれども、共演者やスタッフの皆さんと自分からコミュニケーションを取ろうともしていなかったし、今振り返ると、本当に楽しめていたのかな?と思いますね」
――どういった転機があったのでしょう?「24、25歳のとき、そういう自分が嫌になって、あるドラマでお世話になったスタッフさんの飲み会に、勇気を出して参加してみたんです。そしたら、すごく楽しくて。スタッフさんの作品づくりへの思いみたいなものも聞くことができて、人と話すことってすごく大事で、面白いことなんだなと改めて感じました。それが自分が変わったきっかけというか、この仕事は楽しいな、ずっと続けていきたいなと思えるようになったきっかけでした」
――そんな瀬戸さんにとって、舞台はどういう場所ですか?「自分が成長できる場所だと感じています。自分をより客観視できるようになるし、映像ではできないようなこともやれたりするので、表現の幅も広げられる。たとえば、フランツ・カフカの小説にしても、カフカを題材にしたKERAさんの舞台(『ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~』)に参加しなかったら、僕はまず読むことがなかったと思うんですよ。そういう出合いも含めて、世界が広がる感じがします」
絵を描くのが好き。コロナ禍でのステイホーム中には、自身が描いたイラストの線画バージョンと着色バージョンをSNSに載せ、「塗り絵をしませんか?」と呼びかけた。