コロナ禍でのステイホーム中は「最初は毎日ヤケ酒を飲んでいました(笑)」。ただ、家族や親友とはほぼ毎日連絡を取っていたという。「改めて、家族や仲間のありがたさを感じました」――ご自身としては、もっと売れたいという思いが今もあるのでしょうか?「もちろんです。日本を代表する演出家の方々とご一緒させてもらってきましたし、すごく恵まれているとは思うんですが、今の自分の状況には全然満足していません。考えてみたら、蜷川さんに会うたびに『柿澤、お前、売れてるのか?』『もっと売れる俳優になれ。頑張れ、頑張れ』と口癖のように言われていたから、余計にそう思うのかもしれない。でも実際、僕より芝居がうまい人やカッコいい人は、いくらでもいますからね。そういうところで生き残っていくためには、やっぱりもっと芝居を磨かないと」
――今回の舞台では、がっつり磨けそうですね。「そうですね。“狂犬”としては、できる限り噛みついていきたいです。久々の舞台で、熱い気持ちがたまってますし(笑)。鋼太郎さんと、稽古も含めて2~3か月くらいほぼ毎日一緒にいられるわけですから、こんなに贅沢なことはないですよ。芝居では毎日勝負しなきゃいけないので、ハードな日々になりそうですが、鋼太郎さんの芝居以外の部分も観察して参考にしたいです。自分の演劇人生において、非常に貴重な期間になると思います」
――そんな『スルース~探偵~』から始まる2021年、どんな年にしたいですか?「新しい出会いがたくさんある年にしたいです。今の自分は、新しい現場や出会いに刺激を受けて成長していかないとダメだなと感じていて。そうしないと、自分が理想とする、どんな現場でも闘えて“こいつ、いいな”と思ってもらえる俳優にはなれないなと。でもその前に、吉田鋼太郎という化け物みたいな俳優との闘いがありますからね(笑)。作品としては1対1の心理戦。人間の内面をえぐり出すような瞬間もあるでしょうし、1秒たりとも目が離せない空間にしたいです。この若造が全力でどこまで立ち向かっていけるか、ぜひ観ていただけたら嬉しいです」
柿澤勇人/Hayato Kakizawa
俳優
1987年、神奈川県出身。2007年に劇団四季に入団し、同年『ジーザス・クライスト=スーパースター』でデビュー。翌2008年から立て続けに主演を務める。2009年末に同劇団を退団以降は、舞台を中心にテレビドラマや映画でも活躍。出演映画『すくってごらん』が2021年3月より全国公開の予定。
『スルース~探偵~』
2021年1月8日~24日/東京・新国立劇場 小劇場 S席/1万1000円 バルコニー席/9000円 お問い合わせ/ホリプロチケットセンター 電話03-3490-4949 2月4日~7日/大阪・サンケイホールブリーゼ 10日・11日/新潟・りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場 13日・14日/仙台・電力ホール 19日~21日/名古屋・ウインクあいち大ホール
作/アントニー・シェーファー 翻訳/常田景子 演出/吉田鋼太郎 出演/柿澤勇人、吉田鋼太郎
https://horipro-stage.jp/stage/sleuth2021/