「もの忘れ」？それとも「認知症」？見極める6つのチェックポイント

【お悩み】最近、物忘れが激しくなっています

ここのところ、ものを置いた場所や予定を忘れることが増えてきました。認知症がはじまっていないか心配です。

【回答】認知症か、加齢によるもの忘れかの違いかをチェックして

「昨日の夕食には何を食べたかな?」、「家の鍵をどこに置いたかしら?」


このように、年齢を重ねると脳の老化によって、昨日の夕食の献立や日常の出来事が思い出せず「もしかして、認知症かもしれない」と心配になってしまうこともあります。

しかし、加齢に伴うもの忘れと認知症は、大きく違うのだそう。長年、老年内科で多くの方を診てきた、いのくちファミリークリニック院長・遠藤英俊先生の著書『最新 ボケない！“元気脳”のつくり方』より紹介します。

体験そのものを忘れてしまっているかどうか

その違いは、体験そのものの記憶が抜け落ちているかどうか、にあります。例えば、“昨日の夕食のメニュー"を忘れてしまったのではなく、“夕食を食べたかどうか"を忘れている場合。

食べたことを忘れて、何度も食事を摂ってしまったりするケースもあります。あるいは牛乳を買ったことを忘れて、何度も同じように牛乳を買ってきてしまう、などの出来事がある場合は、認知症の疑いが強くなります。

また、頻度も問題となってきます。例えば、1回だけ財布を置き忘れるのであれば、単なるもの忘れかもしれませんが、何度も置き忘れる。薬を1回だけ飲み忘れるのではなく、何度も飲み忘れる、あるいは飲みすぎてしまう。このような出来事が続くようでしたら、認知症の可能性が高くなります。

認知症の疑いがあるかどうか、表でチェック

最近では認知症の定義が広がり、記憶の問題だけでなく、複雑性注意障害(同時に2つ以上の出来事に対応できない)、なども含めて“生活に支障が出る状態"を指すようになってきました。

ここには社会脳=社会的な判断力がなくなってしまうことも含まれます。物を買うときにお金を払うという常識や判断力がなくなり、払ったかどうか、払う必要があるのかどうかがわからない、などの症状が含まれます。

他にも具体的には、体験を忘れてしまう“記憶障害"以外にも、時間や場所の把握が難しくなる“見当識障害"があります。今日がいつなのか、今度の約束は何日後か、など日付の感覚が失われていきます。身近な場所で迷うなどの症状も出てきます。

また、物事を段取りよく進めることが難しくなる“実行機能障害"や、予想外のことにうまく対応できず戸惑う、などの出来事が起こります。いずれにしても、今までできていた事柄にスムーズに対応できなくなってきたら、専門家への相談をおすすめします。

早期の段階で適切な治療を取り入れれば、認知症の悪化は防げます。次の「認知症の疑いがあるもの忘れ」のチェック表を参照し、1つでもチェックがつけば専門外来の受診を検討して、治療や予防に取り組んでください。