(7)実在の僧がモデル。満面の笑みをたたえた神様
【布袋尊】萬福寺
天王殿の中央に鎮座された福々しいお顔の布袋様。まず最初に参拝して自分に積もった悪いものを吸い取ってもらい、回廊を一周した後、再度ここに戻って福をいただくといいという。喜捨された食べ物を布袋に入れて持ち歩いていたことからその名がついた布袋尊(ほていそん)は、唐代末期の中国に実在した僧侶がモデル。弥勒菩薩(みろくぼさつ)の生まれ変わりともいわれ、太鼓腹を突き出し、笑顔を絶やさず、人々に優しく接しました。
京都市の南、宇治市にたたずむ萬福寺は、中国の隠元禅師が江戸初期に創建した黄檗(おうばく)宗の大本山。整然と伽藍が並ぶ広大な境内に足を踏み入れた瞬間、まるで中国の禅寺を訪れたかのような錯覚を覚えます。中央の天王殿に座した布袋様の笑顔に出迎えられると、もうそれだけで幸せな気持ちに。ここは「普茶(ふちゃ)料理」と呼ばれる精進ランチが楽しめるのも、他にはない魅力です。
萬福寺のシンボル「開梆(かいぱん)」。木魚の原形で、口にくわえた煩悩を吐き出させるべく打つ。今も時を報じる法具として使われている。本堂の大雄寶殿(だいおうほうでん)。広い境内を丁寧にご案内くださった主事の廣瀬友哉さん。布袋様のオープンさが寺のつくりにも表れていると語る。事前予約すれば、実際にガイド役も務めるそうだ。布袋様の絵馬(500円)とお守り(各700円)。萬福寺宇治市五ケ庄三番割34
TEL:0774(32)3900
9時〜17時(受付16時30分)
JR奈良線・京阪宇治線「黄檗駅」下車