第35回
「田園調布 秀や」のパーソナルコーデできものの装いをアップデート
ファッション性の高い色彩感覚で、きもののコーディネートを提案する「田園調布 秀や」の女将・狩谷秀子さんにお話を伺いました。今回は、お客様の似合う色を探し、きものの装いを提案するパーソナルコーデが人気の「田園調布 秀や」にて、女将の狩谷秀子(かりや・ひでこ)さんにA子とE子のお見立てをしていただきました。
好きな色や、洋服感覚でダークな色を選びがちな私たち。今回の取材を通してきものの装いをもっと色鮮やかに、素敵にアップデートできたらと思います!
女将の狩谷秀子さんには、事前に2人の写真をお送りしました。
2019年10月、取材直後に寄った甘味処にて。仕事が終わり緊張もほぐれ、私たちの普段の表情が出ている写真を選びました。狩谷秀子さん(以下、女将)「その方に似合うものを選ぶために、まだお会いしたことのない方にはお写真を拝見させていただきます。外見はもちろん、お顔に表れる内面も分かりますからね。いくつか準備しておきますので、当日は、楽しみにしていてくださいね」
早速取材へ。まずはA子に見立ててくれたのは……
当日は、女将の狩谷秀子さんだけでなく、若旦那の狩谷英二郎さんも私たちにアドバイスをしてくれました。早速、紹介してまいります。まずはA子から。
格子縞の紬、黒地に貝花模様の西陣織の名古屋帯、グレーにえんじ色の房の観世組帯締め/田園調布 秀や女将「とても活発で明るく活動的なイメージのA子さんには、格子の紬をご提案します。ポイントは格子にボルドーが入っていること。あえてメインではなく、控えめな分量にすることで、A子さんの女性らしさを引き出してくれると思います。取材など、仕事できものを着ることが多い彼女には便利な一枚だと思います。
また、帯は3パターン用意しました。どれも汎用性の高い名古屋帯です。まずは、この貝花模様の帯ですが、色無地にも小紋にも軽い付下げにも合わせられるので、重宝すると思います。譲り受けたきものとも合わせやすく、“秀やの万能帯”とも呼ばれているんですよ」
まだまだ所有数の少ないA子にとって、“万能”はとても魅力的なキーワードです。
格子縞の紬、「蝶の舞」と名付けられた西陣織の八寸名古屋帯、紺に房がえんじ色の秀やオリジナルカラーの観世組帯締め/田園調布 秀や女将「こちらは、蝶々が軽やかに舞っている八寸帯です。最初の帯より行動的な雰囲気ですよね。これ以上甘くならないように、紺にえんじ色の房の帯締めを合わせて引き締めました」
格子縞の紬、刺繍更紗の型絵名古屋帯、帯締め/田園調布 秀や女将「最後は、淡い色がたくさん入った、小花柄の染め帯です。合わせるきものはこの帯に使われている色なら、どれも相性がよいと思います。また、どの色も分量は控えめなので、ベージュ地の帯として初心者さんもコーディネートがしやすいと思います」