2人が気に入ったものを合わせてもらいました
反物は切らなくても、折り返したり紐を使っていくだけで、きものを着ているかのように合わせることができます。直線裁ちならではですね。A子が選んだのはこちらの貝花模様の名古屋帯。可愛らしくフレッシュなA子に、ほんのりと大人の雰囲気が加わりました。そして私はニュアンスカラーの紬にチャコール系の染め名古屋帯を。二人が気に入ったか否かは表情を見ていただければ一目瞭然かと思います!初めての帯は重宝の一本を
女将「今回はいろいろなきものに合わせやすい色や柄の名古屋帯を選びました。色無地や付下げ、小紋、紬でも合わせることができるので、初心者さんには重宝するのではないでしょうか。
帯を選ぶときは、ご自身の直感を大切にしてほしいと思っています。けれど初心者さんが「好き」という気持ちだけで求めてしまうと、着ていく場所が限られることも。そこで私たちプロの出番。その方らしく、且つ気に入ってもらえて便利なものを厳選して提案するので、その中から「好き」を見つけてもらえたらと思います」
嬉しくて仕方がないA子(左)と、まだ衿しか合わせていないのに鏡が気になるE子(右)。女将・狩谷さんのお見立てはどれもおしゃれでときめくものばかりでした。きれい色のコーディネートを楽しむための、はじめの一歩
女将・狩谷さんのように、もっときれいな色を使いこなすためにはどうしたらよいでしょうか。
女将「洋服だと、アクセサリーをきらりと効かせることができるので、シンプルな着こなしでも素敵ですよね。でもきものは“色を着る”ものだと思うんです。柄があるので、多色づかいが必須です。ぜひ色の使い方に慣れ、素敵に装っていただきたいと思います」
パーソナルコーデは、知らない自分を見つける絶好のチャンス!
女将「ただ、どんな効かせ色が似合うかは皆さんそれぞれ。例えばモノトーンの装いに暖色系の挿し色をご提案させてもらう方もいれば、少しだけブルー系を挿してみましょうとお話しする方もいますし、帯締めを黒にしてさらに引き締めてみませんかとご提案することも。
それはご本人の好みだけでなく、お人柄や髪や眉の色などさまざまな要素から選んでいます。
そして必ず、実際にお顔に当ててみてください。洋服でブルーは着ないから、きものでも似合わないと思っても、和の色の幅はとても広いんです。空色、水色、甕のぞき、本藍と多様にあるので、似合う青色が必ずあります。
皆さん、お好きな色はあると思います。でももっと他に相性のよい色があるかもしれません。ご自身で気づくことはなかなか難しいと思います。新しいご自身を発見するお手伝いが、私たちプロの仕事だと思っています」
初心者同士のA子とE子でも、今回見立ててもらったコーディネートはこんなにも異なりました。もし、自分の似合う色を知ることができたら、“色を着る”という、きものならではの楽しみが増えそうです。
狩谷秀子さん、英二郎さん、これからの装いの参考にさせていただきます。ありがとうございました。
構成・文/笹本絵里 ※この連載で取り上げて欲しい、皆さんの「いまさら聞けない」きものの基本&疑問をぜひ お聞かせください! 件名「イチから始めるきもの道」と明記し、メールにてお寄せください。 E-mail:k-salon@sekaibunka.co.jp