――ブルガリ社はどのような雰囲気?
「現在、ブルガリ社は世界中に4千名の社員がいます。とても温かい雰囲気で、社員の仲がよいのが特徴です。 こうして東京に出張に来るたびに、東京にはラグジュアリーなブランドショップがたくさんある中で、ブルガリを特別な存在として愛してくださる方がたくさんいるのを知り、本当に幸せに感じます。」
――今回のテーマである「セルペンティ」について教えてください。
「『セルペンティ』は1948年に誕生したブルガリ社のアイコンです。イタリアでは蛇は古典的なモチーフですが、ローマ時代は『罪』『悪』『誘惑』の意味がありました。 ですが、今は『幸運』や『再生』の象徴として用いられることが多く、ファッションのモチーフとしてもポピュラーです。」
「十字架が宗教的な意味合いだけではなく成功のアイコンとしてアクセサリーに用いられるように、蛇をポジティブに受け入れる傾向が強いのです。そんな観点から、私は蛇をトリビュートして作品を集めた展覧会を開こうと考えました。 この展覧会は2016年のローマを皮切りに、シンガポールでも開催され、東京が3都市目となります。」
「本展覧会では130年以上のブルガリの歴史の中で『セルペンティ』がいかに進化を遂げてきたかを伝えます。 東京の展示のために特別にデザインされた作品もありますので、どうぞご期待くださいね。」
ルチア・ボスカイニ/LUCIA BOSCAINI
ローマ生まれ。古典学に精通し、1994年経済学で学位を取得したのち、イタリアのいくつかの企業でキャリアを積んだ。2001年ブルガリ社のマーケティング部門に入社。業務を通じ、ブランドにおける象徴的なシグネチャーや様式の発展などの深い知識を得、2007年マーケチングディレクターに就任。ブランドの基本理念への効果を図った商品カテゴリーに注力した。順調にキャリアを積み、2010年イベント ヘリテージ部門のトップに任命された。企業戦略であるブルガリのクリエイティブ規定を広めることにフォーカスし、マスコミや顧客にインパクトのあるウィットに富んだアプローチで印象づけた。2014年、ブランド ヘリテージ キュレーターに就任。ブランドの歴史的資産の管理を任されることになった。ブランド創業者の末裔パオロ・ブルガリや二コラ・ブルガリとの濃密なやり取り、6万点にも及ぶ膨大な資料とアーカイブ画像やスケッチをたどり、ブランド ヘリテージチームは130年の歴史を持つブランドの年代記である壮大な量のヘリテージコレクションの華麗かつ希少なピースを回顧展に集約させることに成功した。
ブルガリ セルペンティフォーム
アート ジュエリー デザイン
展示内容
最初のセクションではヘルムート・ニュートン、ロバート・メイプルソープ、操上和美ら高名な写真家による蛇にまつわるファッションフォトが展示されます。次のセクションはコンテンポラリーアートのコーナーで、ニキ・ド・サンファルやキース・へリング、小谷元彦、天明屋尚らによる作品を展示。 東京展では漫画家・荒木飛呂彦が描き下ろした作品と特別デザインのバッグ、財布、スカーフも展示されます。ジュエリーのセクションでは、トゥボガス技法を用いた初期の様式的な作品から、ゴールドのうろこやマルチカラーのエナメルを施した写実的な作品まで幅広い「セルペンティ」の世界が紹介されます。会場内にはブルガリのカフェが併設され、ドリンクや特別フレーバーのチョコレートが楽しめます。
開催データ
会期 2017年11月25日(土)〜12月25日(月)
場所 六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー
展望台入場料 一般1800円、高校・大学生1200円、4歳〜中学生600円、シニア(65歳以上)1500円
https://www.serpentiform.bulgari.com 取材&文/田島由利子