京都の料亭発、祝い肴+11品で祝う 村田吉弘さんの「3時間おせち」 第6回(全7回) おせち料理のすべてを家庭で作るなどとても無理だと、多くの人は思うかもしれません。確かに種類も多く、手間も時間もかかりそうです。でも11種がわずか3時間で作れるのであれば、チャレンジしてみたくなるのではないでしょうか。余計な手間を省き、必要な手順だけで仕上げるおせち料理を、京都の名料亭「菊乃井」主人の村田吉弘さんと考えました。祝い肴も、1種でも2種でも試してみましょう。手作りのおせちは、祝い膳の花形になるはずです。
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祝い肴は正月の祝いの膳に用いられる酒肴です。欠かせないのが「三つ肴」と呼ばれる3種で、関東では数の子、黒豆、田作り、関西では黒豆に代わり、たたきごぼうが入ります。
01.数の子
器/瑠璃金襴手鉢 澤村陶哉 作子孫繁栄を願って三つ肴では不動の一品
数の子は鰊(にしん)の卵巣で、鰊は一腹に数万もの卵を持つといわれます。そこから「二親(にしん)」に数多く子が生まれるというので、子孫繁栄を願う縁起物として正月の祝い肴に用いられてきました。
鰊の一名を「カド」や「カドイワシ」といい、「カドの子」がなまって「カズノコ」になったとされます。また、古くは「鰊鯑」あるいは「鯑」の表記で、「数の子」は子孫の数が増えることを願っての当て字ともいわれます。
鰊漁が盛んな時代は干し数の子が主流で、田作りよりも安価でした。江戸時代中期の『本朝食鑑』には「生は乾(ほ)したものに及ばないのでことごとく乾物にする」と記されています。
【材料・作りやすい分量】
・数の子250グラム
・酒400ml
・薄口醬油・みりん各50ml
・かつお節10グラム
・糸がつお適量
【作り方】
(1)数の子はたっぷりの水に一晩つけ、その後に1パーセントの塩水に2〜3時間つけて塩を抜き、薄皮をむく。少し塩味が残る程度がよい。
(2)鍋に酒を入れて火にかけ、アルコール分をとばす。醬油とみりんを加え、ひと煮立ちしたら火を止め、かつお節を加えてそのまま冷ます。
(3)冷めたらペーパータオルでこし、(1)を一晩漬ける。
(4)食べやすい大きさに切って器に盛り、糸がつおを天盛りにする。