室町・桃山時代に盛んに行われていた絵模様の絞り染めは、いつの時代からか「辻が花」として、好事家たちに珍重されてきました。貴重な資料はコレクターのもとに愛蔵されてはいてもいまでもなお、“生い立ち”はミステリアスなままなのです。絞りのもつ、大らかでかつ繊細な世界を見つめ直した作り手たちの仕事を通して、現代の辻が花を探し求めてみました。
男子のお宮参りのきものです。胴のあいたデザインで肩に壺垂れ、裾に矢襖文を配し、桐文が散らされて。健やかな成長への願いが込められています。/京ごふく ゑり善 京都本店
絵模様を表す辻が花絞りの、技を超えたおかしみあふれるきもの。紬地に大胆な段替わりもニュアンスカラーの優しさで美しくまとまりました。/きもの創り玉屋 銀座店
『きものSalon』2020-21秋冬号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。