三浦家に新しく作られた電気窯の前で、一つ一つ、父の説明を聞きつつ、勉強中のみどりさん。父から娘へつないでゆく日常
2021年、京都で初の個展を予定しているみどりさん。京漆作家の三木表悦氏を父に、同じく漆芸の道を歩む啓樂氏を弟にもち、直人氏とのご結婚は24年前のことです。ご主人が亡くなってから当代の下で勉強を始めました。「嫁としてではなく、実の娘のように教え導いていただきました。作り手をめざす者の一人として、毎日が貴重な学びの連続です」。初の個展に出品するために作られた作品を拝見すると、無事に開催されることを願わずにはいられません。
丑年にちなんだ「牧牛宝瓶」と、春に向けて新しく作られた「黄磁 花水滴」「桃果磁 花水滴」。すべてみどり造。「わが家は父で5代目です。代を重ねていくことは簡単ではありませんが、父の背中を見て、一生懸命努力しようと思います。父はよく『京焼は工芸品。まず自分で作って使ってみなさい。そして素直な心を忘れずに、作り続けなさい』と申します。私たち物作りの世界では、お客さまとの交流が何より大切と考えています。ご注文をお受けするときは、まず相手の心に素直に耳を傾けることを心がけています」。指導者である父から教わった、大切な心構えです。
三浦家の南面全景。左側に新築されたギャラリーでは、新しい作品が迎えてくれる。連絡すれば拝見することが可能。●三浦竹泉アートギャラリー
京都市東山区五条橋東6-493-1
TEL:075(561)2987
撮影/田口葉子 取材・文/萬 眞智子
『家庭画報』2021年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。