京都&パリ ひみつの美味案内 世界の食都、京都&パリ。地元のグルメな方々に、現地に暮らすからこそ知っているおすすめの美味をこっそり教えていただきます。
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年末年始は“お取り寄せ”で京都気分
(取材・文/西村晶子)
今年も残すところ1週間。年越し、お正月の準備に忙しい年末に、買い置くと重宝するのが華やかな京都の食材です。本連載の最終回は、330年余の歴史を刻む「半兵衛麸(はんべえふ)」の細工麸をご紹介します。
京料理や精進料理を支えてきた
老舗の技を生かした「迎春なま麸」
お正月料理を彩る「迎春なま麸」1箱8個入り1500円。「半兵衛麸」は京都を代表する麸とゆばの専門店。元禄2年(1689)の創業以来、お寺や料理屋に納め、京都の食文化の一端を担ってきました。
ご紹介する「なま麸」は、小麦から抽出した小麦たんぱくともち粉だけで作っており、つるんとして歯触りがよく、もっちりと柔らかな弾力のある食感が特徴です。生地や形に工夫を凝らした細工麸は、季節を表したり、縁起物を模したりと、様々な種類や形があります。
そんな細工麸が最も充実するのが、お正月前の今! おせちやお雑煮などの料理用に作られた冬限定の商品で、箸をつけるのがもったいなくなる美しさです。
「迎春なま麸」は、お正月料理を華やかに演出してくれる細工麸の詰め合わせです。来年の干支「丑(うし)」をモチーフにした細工麸、赤と緑の2色の糸に見立てた生麸を巻いて模様をつけた「てまり麸」、迎春にぴったりの紅白の「紅梅・白梅」と「千代結び」の4種類。あるだけでめでたさが増し、おせちがぐんと華やかになります。
ひさご、梅、竹などの縁起物をモチーフにした
年末年始限定のなま麸
3色あると華やかで料理に映える「ひさご麸」1箱6個入り900円。ひょうたんをかたどった「ひさご麸」は赤、白、緑の3色。ひさごは昔から縁起物とされ、6つ揃えば無病(六瓢)息災で、おせち料理やお祝いの料理にぴったりです。のし紙にもひさごが描かれ、年末の手土産にしても喜ばれそうです。
淡い色使いが愛らしい「うめ麸」1本340円。必要なぶんをカットして使える棹状のなま麸にもお正月用のものがあり、そのひとつが愛らしい「うめ麸」です。季節の花をモチーフにしたなま麸は花麸と呼ばれ、お正月は子孫繁栄や長寿円満を授ける花として親しまれている梅麸を販売しています。紅白のグラデーションで、これもお煮しめやお雑煮に1輪あるだけでお正月らしくなり、お鍋やちらしずしの具にしたり、と普段の料理にも使えます。
緑と黄色で常緑の竹を表した「竹麸」1本400円。もう1つが縁起物の竹を模した「竹麸」。厳寒の冬でも青く、年中、緑を茂らせることから生命力と繁栄を表すとされています。細工麸は、見た目の美しさだけでなく、縁起物としての意味も知ることができ、京都の伝統の味と職人の技を身近に感じることができます。
いろいろな料理にアレンジでき、煮ても焼いても揚げてもおいしい食材なので、お正月に限らず常備しておくと重宝しそうです。
330年の歴史を守る老舗。麸と湯葉を使った料理を味わえる茶房や、麸にひと技ひと工夫をプラスした新ブランド「ふふふあん」を展開。●お問い合わせ・注文先半兵衛麸
京都府京都市東山区問屋町通五条下る上人町433(五条大橋東南側)
電話 075−525−0008
https://www.hanbey.co.jp※冷蔵便にて発送。
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関西を拠点に、京都の食や文化、人、旅を幅広く取材、編集。長年、『家庭画報』の京都企画を担当し、さまざまな記事を執筆。最近の書籍の仕事に『
旨し、うるわし、京都ぐらし』(大原千鶴著)がある。
表示価格はすべて税別です。