アーチが崩れる扁平足を放置すると
脚全体の健康を損なうことに
羽田 私もこの検診を体験させていただき、あらためて自分の弱点がわかってよかったです。これまで自覚はなかったのですが、扁平足が進んでいるとのこと。
久道 扁平足は足のアーチが崩れている状態のことです。生まれつきの体質のように思われがちですが、足が疲れる、たこができる、痛みがあるといった症状があれば扁平足も立派な病気です。アーチが崩れると足裏や足指に過剰な圧がかかり、たこやうおのめ、外反母趾になりやすく、さらにアーチの崩れを足首が代償しようとするので、無理が生じて足首が傷んできます。そして、足首で代償しきれなくなると膝や股関節で代償するようになり、最終的に脚全体にダメージが及んでしまうのです。
羽田 扁平足をあなどってはいけませんね……。足のお手入れも保湿クリームを塗るくらいしかやっていません。ネイルサロンでたこを削ってもらう人もいますね。
久道 たこを削るのはとても大事なケアです。それだけで足裏にかかる圧を3割軽減できますから。ただ、対症療法なのでアーチの崩れを根本的に解決することにはなりません。
「痛みが出る前に自分でチェックすることが足の健康を保つ秘訣ですね」(羽田さん)〔羽田さん着用衣装〕ワンピース18万円/ミカコ ナカムラ(ミカコ ナカムラ 南青山サロン)靴7万9000円/セルジオ ロッシ(セルジオ ロッシ カスタマーサービス)イヤリング30万円 リング22万円/ともにフォーエバーマーク(岐阜タカシマヤ 8F)インソールでアーチの崩れを矯正し
足の健康を取り戻す
羽田 何かよい方法はありますか。
久道 アーチの崩れを矯正するインソールをつくることをおすすめします。その人の足にとって理想のアーチとは、足裏に均等に圧がかかった「ニュートラルポジション」と呼ばれる状態です。これをインソールで再現し、靴底に敷いて歩くことで足の変形を遅らせ、足首、膝、股関節などの代償をなくして脚全体を健康にします。また、アーチが正しくポジショニングされるので、歩き方も自然によくなります。
羽田 いいことずくめですね。私もインソールをつくってみたいです。ところで、足のトラブルのうち医療機関を受診すべき症状は何ですか。
足の痛みを我慢する人は多いけれど
サインを見逃さずに医療機関へ
久道 それは単純で、まず「痛み」です。足の場合、我慢する人が多いのですが、痛みは異常を知らせる重大なサインです。すみやかに受診しましょう(本ページ下部のチェック項目を参照)。
羽田 何科に行けばいいですか。
久道 足病科といいたいところですが、この医学に力を入れる医療機関は少しずつ増えているものの、探しにくいのが実情です。日本に足病医学を定着させる目的のもと2019年に設立された日本フットケア・足病医学会が認定する「フットケア指導士」が在籍する医療機関は病院探しの一つの目安になるでしょう。
羽田 まずは足の健康寿命を延ばして“歩ける足”をキープするために日常のフットケアに取り組んでいくことが大事ですね。10年後に後悔しないよう今日から頑張ります!
一つでも当てはまれば足の専門医へ
□ 歩いていて痛みを感じる
□ 長時間歩けなくなった
□ 歩くスピードが遅くなった
□ 歩き方がおかしいと周囲の人からいわれた
□ 足のかゆみが続く
□ たこやうおのめができて治らない
□ 爪が変形していて痛い
□ 足にできた傷がいつまでも治らない
※下北沢病院提供資料をもとに作成日本フットケア・足病医学会「認定制度/フットケア指導士一覧」https://jfcpm.org/ 〔特集〕「足寿命」を延ばして100歳まで歩く(全8回)
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撮影/鍋島徳恭、国井美奈子 スタイリング/坂本久仁子(羽田さん) ヘア&メイク/木下 優〈ロッセット〉(羽田さん) 取材・文/渡辺千鶴
『家庭画報』2021年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。