「足寿命」を延ばして100歳まで歩く 第2回(全8回) よく歩く人は、いつまでも健康で長生きする──。さまざまな研究により歩行と健康寿命の関係が明らかになってきました。一方で、50代から足のトラブルに悩まされる人も増えてきます。実は足の寿命は50〜60年で尽きるといわれており、今まさに足の健康はターニングポイントを迎えているのです。足寿命を延ばすケアで“100歳まで歩ける足”になりましょう。
前回の記事はこちら>> 100歳まで自分の足で歩くために
放置してはいけない「足の病気」
足の最も重要な役割は「歩行」です。その複雑な動きを可能にするために足の骨はなんと26個(7個の足根骨、5個の中足骨、14個の趾骨)もの細かい骨で構成されています。また、足には重い体を支える役割もあり、体重を分散できるよう足の骨は縦方向と横方向に弧を描くように配置されています。
足の構造は、ほかの部位と比べてもとても繊細なのです。にもかかわらず、足は毎日酷使されていて、例えば1日の平均歩数が6000歩程度の場合、片足ずつ3000回ほど地面に叩きつけていることになります。
異常に早く気づくために
足を丁寧に観察する習慣を
「繊細なのに我慢強い。それが足の特徴です。それゆえに起こりやすい足の主なトラブルを知っておきましょう。また、小さなトラブルでも放置しないことが肝心です。フットフレイルはやがてウォークフレイルに発展し、将来的に要介護状態や寝たきりを引き起こします(下図参照)」と下北沢病院理事長の久道勝也先生は警告します。
・
50代がターニングポイント! 羽田美智子さんと久道勝也先生の「足寿命」対談>>足のフレイル(※1)は「要介護」「寝たきり」の始まり!
(※1)加齢により、筋力・活力が衰えた状態 (※2)加齢によって生じる骨格筋力の低下 (※3)寝たきりを引き起こす運動器の病気 『100歳までスタスタ歩ける足のつくり方』を参考に作成よくみられる足のトラブルには、(1)皮膚や爪の異常、(2)足アーチの崩れや関節の変形による異常、(3)靭帯や腱のゆるみ、筋力の低下による異常などがあります。
「こうしたトラブルに早めに気づき、適切に対処するためには自分の足を定期的に観察する習慣を持つことが何よりも大切です」と久道先生はアドバイスします。
観察する際は、まず皮膚の状態を確認します。「たこやうおのめだけでなく、皮膚の色や乾燥の有無など細かく観察してください。爪のチェックもお忘れなく。そして変形、かゆみ、痛み、むくみなどの異常も見過ごさないようにしましょう」。
なお、神経障害や血行障害を起こしやすい糖尿病の人は、痛みやかゆみに気づきにくいため、足の観察は特に大事です。異常を見つけたら早めに足の専門医を受診しましょう。
足の病気を引き起こす要因
靴が合わないとたこやうおのめが発生し、ハイヒールは外反母趾を引き起こす。狭い靴の中で足指同士がくっつくと角質が蒸れやすくなり足白癬(水虫)の温床に。
長年、体重がかかり続けることも骨や関節の変形、靭帯や腱のゆるみを誘発する。50代以降は、歩行の衝撃を吸収してくれる足裏の脂肪も減り始め、それもトラブルの原因になる。
次回は具体的な症例とその対処法をご紹介します。1月26日(火)に「皮膚と爪のトラブル」を配信予定です。どうぞお楽しみに!
〔特集〕「足寿命」を延ばして100歳まで歩く(全8回)
撮影/伏見早織 イラスト/にれいさちこ 取材・文/渡辺千鶴
『家庭画報』2021年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。