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ゲストの一覧 【お悩み】風邪をこじらせてなかなか治らない
数週間前に風邪をひいたのですが、いまだになかなか良くなりません。長引く症状を治すにはどうすればいいですか?
【回答】首の後ろを湯たんぽなどで温めて
風邪の症状がなかなか治らないのは、異物から体を守る強力な免疫装置である鼻の奥の“上咽頭”の炎症が慢性化している可能性があると指摘するのは、医学博士の堀田 修先生です。
堀田先生の著書『自律神経を整えたいなら上咽頭を鍛えなさい』よりご紹介します。
「カゼをひくと、鼻の奥の“上咽頭”が炎症する“急性上咽頭炎”が起こることがあります。これは、上咽頭に細菌やウイルスが付着し、上咽頭細菌叢(さいきんそう)という病原微生物の集団ができることで起こります。これにより、のどの痛みや鼻水、セキ、中耳炎や急性副鼻腔炎などを発症します。
ストレスや過労で免疫力が下がっている状態でカゼをひくと、カゼはなかなか治らず、カゼが治らないことによって上咽頭の炎症が慢性化し、さまざまな不調を引き起こします。
いわば、急性上咽頭炎が慢性化した状態で、寒冷やストレス、寝不足、疲れなどで、カゼが完全に治る前にこじらせてしまうと、本来なら鎮まるはずの、免疫システムの活性化が持続し、炎症が慢性化してしまうのです」(堀田先生)
湯たんぽで首の後ろを温めるこうした上咽頭炎を予防するには、“首の後ろを冷やさない”ことが重要なのだそう。
「首が冷えてうっ血すると、上咽頭の炎症を招きます。ふだんから首の大きく開いた服装は避け、ストールなどを活用して首を冷やさないよう心がけましょう。
首の後ろを温めると、上咽頭の周辺の血行がよくなり、慢性上咽頭炎特有のうっ血状態が改善します。また、首の周りの筋肉の緊張もほぐれて首こり・肩こりもやわらぎます」(堀田先生)
首の後ろを温める便利な道具として先生がおすすめするのが、ゴム素材でやわらかい、昔ながらの湯たんぽです。
「湯たんぽにお湯を注ぎ、タオルで包むなどして首の後ろに当てて上向きになります。すると、五分程度で鼻の通りがよくなることが実感できるでしょう。首や肩の筋肉の緊張がゆるみ、血流がよくなることで首こりや肩こりも改善します。
そのほか、電子レンジで温めるネックウォーマーや使い捨てカイロを利用するネックウォーマーなど、さまざまな商品がドラッグストアなどで市販されていますから、利用するといいでしょう」(堀田先生)
暑い夏でも、できるだけ首の後ろは冷やさないことが大切だそうなので、ぜひ参考になさってください。
堀田 修/Osamu Hotta
堀田 修クリニック(HOC)院長・医学博士、認定NPO 法人日本病巣疾患研究会理事長、日本腎臓学会評議員、IgA 腎症根治治療ネットワーク代表、東北医科薬科大学医学部臨床教授。1957年愛知県生まれ。83年、防衛医科大学校卒業。88年、IgA 腎症の根治治療として扁摘パルス療法を米国医学雑誌『AJKD』に発表、日本のIgA 腎症治療に変革をもたらした。「木を見て森も見る医療」をモットーに、扁桃、上咽頭、歯などの病巣感染(炎症)が引き起こすさまざまな疾患の臨床と研究に力を注ぐ。
イラスト/umao 編集協力/山岸美夕紀
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