365日美と健康のお悩み相談室 毎日更新の美容&健康のコラム連載。今知りたい気になる話題から、すぐに試せるテクニックなど、美容と健康のプロが皆さんのお悩みに答えます。
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ゲストの一覧 【お悩み】杖をついた高齢者でもできる運動はありますか?
年老いた母親は、杖をつかずには歩けません。この状態で足腰を鍛えることはできませんか?
【回答】筋肉体操なら杖をついた高齢者でもできます
足腰を鍛えるために運動を続けているという方も多いと思いますが、すでに体が弱ってしまっている高齢者は足腰を鍛える術はないのでしょうか?
筑波大学大学院教授の久野譜也先生が提唱する「筋肉体操」なら、杖をついた高齢者でもできるといいます。
久野先生の著書『死ぬまで歩ける! 7秒筋肉体操』より紹介します。
97歳の高齢女性が杖なしで小走りができるように「以前、私が筋肉体操を指導したシニアのひとりに、97歳の高齢女性がいらっしゃいました。筋肉体操をはじめる前は、腰が曲がり、杖を使ってのヨロヨロ歩きしかできない状態です。
この年齢で、杖を使ってでも自力で歩けるのは立派なことですが、動きはおぼつかなく、顔の表情もどこかぼんやりとしていて、認知症がはじまっているのかもしれないとも感じました。
ところが、筋肉体操の基本編を続けてもらううち、この女性はみるみる元気に。3カ月後には、なんと、杖なしで小走りできるまでに体力が戻ったのです。表情も見違えるほど変化して、イキイキとした笑顔が浮かぶようになりました」(久野先生)
人生100年時代をずっと元気に過ごしたいこのように、体を動かすことの効果は肉体面だけにとどまりません。「気持ちが前向きになる」「心が若返る」といったメンタル面への効果も絶大です。
「たとえば、81歳の栗原さんは、健康運動教室だけでは飽き足らず、運動器具を買いそろえて自宅でも筋トレを楽しんでいると笑顔で話してくれました。体の変化が心にも波及して、さらなる若返りの糧となっています。
人生100年時代を、最期までずっと元気に自分らしく過ごしたい。筋肉体操は、それを叶える、何よりも確実な“保険”なのです」(久野先生)
基本の筋肉体操は、以前にもご紹介した、イスやテーブルにつかまりながら行うゆるいスクワット「
ゆるスク」、大腰筋をピンポイントで鍛える「
ももアゲ」、太ももの筋肉を強化して転倒を防ぐ「
ひざのばし」の3種目です。
できるところから始めて、できるようになったらこの3種目を、1日おきに週3~4回、続けましょう。
もちろん、筋肉体操は高齢者だけでなく、すべての人に有効です。家族全員で楽しみながら行ってみてください。
久野譜也/Shinya Kuno
1962年生まれ。筑波大学大学院人間総合科学研究科教授。医学博士。2002年、健康増進事業を推進する筑波大学発ベンチャー、(株)つくばウエルネスリサーチを設立。エビデンスに基づいた超高齢社会に対する日本の健康政策の構築を目指し、100 以上の自治体と協働し、啓蒙活動に努める。
イラスト/umao 編集協力/山岸美夕紀
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